ライオン株式会社では2030年に向けた新たな成長戦略の一環として、「暮らしの香りをカスタマイズする」という新しい習慣を提案するブランド「by me」を推進してきました。
その「by me」ではVividirを導入いただき、どのように変化してきたのか。 事業担当者である伊東様にお話を伺ってきました。
香りの新提案「by me」のこれまでと立ち上げの歴史
伊東様:「by me」は、生活者の暮らしをより豊かにするために香りの重要性に着目し、無香性の柔軟剤に好きな香りを組み合わせて自分だけの香りを楽しむことができるという、独自のコンセプトで展開しています。
「by me」の誕生の背景には、「香りが人々の生活に与える影響を最大限に活かし、日常をより彩り豊かにしたい」という思いが込められています。当初は、香りへの関心が強くこだわりのある層をターゲットにしていましたが、ローンチから間もなく、香りを暮らしの一部として楽しみたいと考える幅広い層に向けて事業のスコープを広げています。
また、「by me」の大きな特徴は、D2C(Direct to Consumer)モデルで販売していることです。自社で顧客との接点を持つことで、双方向のコミュニケーションを通じて顧客のニーズを直接反映させ、製品開発やサービス改善につなげています。香りに関する開発は専門の研究所が担当し、製品の中身の組成や香りの調合にこだわりを持ち、顧客の多様な感性に応えるためのプロダクト作りを行っています。
このように、「by me」は生活の中での香りの楽しみ方を提案し、より多くの人々にとって香りが生活の彩りとなることを目指しています。その一方で、事業拡大を目指す上で顧客の新規獲得やリピートを促す戦略の策定に課題を抱え、Vividirを活用した事業成長の道筋を探ることとなりました。
by meが抱えていた事業計画作成の大変さと顧客開拓の難しさ
伊東様:「by me」の事業は順調にローンチを果たしましたが、事業計画の作成や顧客開拓において大きな課題を抱えていました。というのも、立ち上げ当初は香りにこだわりを持つ高感度な顧客からの支持を得ることには成功したものの、事業の成長を長期的に見据えた計画を作ることに苦戦していました。
一番の課題は、事業計画の構築にあたってデータの分析と活用がうまくできなかったことです。座談会で顧客の声を集めるなど試行錯誤を重ねていたものの、その声を数値化し、事業のKPIに落とし込む効果測定の仕組みが整っていませんでした。具体的には、どのデータが事業の成長にとって最も重要であるかが不明確であり、効果的なマーケティング施策を打ち出せないという課題がありました。それゆえに、マーケティングアクションが比較的場当たり的になり、長期視点での戦略的な事業運営に至れない状況につながっていたと考えます。
さらに、事業計画の作成自体が非常に煩雑で、多くのリソースと時間を要していたことも悩みの種でした。当初はExcelで作ろうとしていましたが、事業の成長モデルや収益構造を適切に可視化できず、計画の全体像を俯瞰することが困難でした。そのため、事業戦略を明確に決め切ることが難しく、チーム全体での事業方針の共有が進まないという問題もありました。
こうした課題の中で、「by me」は事業計画の見直しと顧客開拓戦略の強化に取り組むため、Vividirの活用によってデータの一元管理と事業構造の可視化に挑むこととなりました。
プロフィナンス木村氏の研修で学んだ「事業の構造分解」が事業成長に向けチームの意思統一と戦略策定のキーに
伊東様:「by me」事業が抱えていた課題解決のきっかけとなったのが、プロフィナンス社の木村氏による研修でした。この研修で学んだ「事業の構造分解」は、チームにとって大きな転機となり、事業成長に向けての重要な手がかりを得ることになりました。
木村氏の研修では、事業の全体像を細かい構成要素に分解し、それぞれの要素がKPI(重要業績評価指標)とどう関係しているかを「KPIツリー」で可視化する具体的な手法が紹介されました。この手法により、私たちのチームは事業を構造的に捉え、各数値がどのように事業の成長に寄与しているかを理解することができるようになりました。それまで感覚的に進められていた事業推進が、データに基づいた合理的な戦略策定へと変わり、チーム全体で事業の方向性に対する認識の一致が図られました。
このKPIツリーを活用した構造分解によって、私たちのチームでは特に新規顧客獲得数向上に必要な要素を洗い出し、それに伴う課題を明確化することができました。また、KPIツリーをベースにチームで議論を行うようになり、「どの数値に注目すべきか」「不足しているデータは何か」「どういったアクションが必要か」といった具体的な対策を話し合う土台ができたことは、チーム全体での戦略策定に大きく寄与しました。
木村氏の研修を通じて、データに基づいて事業を冷静に分析し、課題に対する具体的なアクションプランを導き出す力を身につけました。この学びを通じて、チームの意思統一と事業の効率的なグロースに向けた戦略策定がスムーズに行えるようになり、「by me」は次なる成長フェーズに向けて大きく前進したのです。
Vividirの自由度の高さと活用支援により、事業が前に進んだ手応えがある
伊東様:「by me」にVividirを導入して最も感じたメリットの一つが、そのプロダクトの自由度の高さと活用支援の手厚さでした。事業計画の策定やKPIの設定といった経営に関わる幅広いニーズに対応できるだけでなく、それぞれの事業に合わせてカスタマイズできる柔軟性があることが大きな魅力です。
一般的な事業管理ツールでは、用意された型に自社の事業を合わせなければならないことが多いですが、Vividirではさまざまなビジネスモデルや事業規模に適応できる柔軟性が備わっています。これにより、「by me」のような新規事業であっても、オリジナルの戦略や構造に合わせて自由に事業計画を作成し、それをリアルタイムでチームと共有・分析できる点は、他にはない大きな利点となりました。
また、一般的にツールの自由度が上がると利用の難しさが上がることも事実です。Vividirも同様の課題があると感じていますが、一方で導入に際しては活用支援が適切に提供されています。加えて、サポート担当者が事業の特性に合わせたアドバイスを行ってくれたことで、ツールの使い方だけでなく、実際に効果的な事業計画の作成・運用をチームで実践できるようになりました。この支援により、事業のパラメータの洗い出しからKPIの設定、具体的なアクションプランの立案まで、実務に直結する形でVividirを活用することができました。
このように、Vividirの導入とサポートを通じて、木村氏の研修で学んだ「知識」が具体的な「アクション」へと変化しました。Vividirの提供するツールは、事業計画の作成において必要な知識を形式的に学ぶだけではなく、実際にデータに基づいた意思決定を行うためのアクションを生み出す力をチームに与えました。
Vividirでは、PLに紐づく形で事業全体をKPIツリーで可視化し、数値に基づく事業構造の把握と分析が容易に行えます。特にシミュレーションをしていくことに秀でており、例えばAという指標を高めていきたい時にB,Cの変数があるとします。このときAを高めるための手段をB,Cのパターンを変えながらいろいろと考えるわけですが、これをExcelでやろうとすると、かなり大変です。 ところがVividirではこれを容易にできてしまうので、一度の会議の中で出てくるさまざまなアイディアをその場でシミュレーションし、会議終わりには次のアクションが具体的に決まっている状態で終えられます。 これは事業を推進していく上で大きな武器です。
今後Vividirを使い「by me」で目指したいのは「多くの人の生活の香りを彩り豊かにしていくこと」
伊東様:「by me」が今後の展望として、Vividirを活用しながら目指していきたいのは、新規顧客の獲得を通じ「多くの人の生活を香りで彩り豊かにすること」です。これまで、「by me」は香りにこだわりを持つ高感度な顧客層から支持を得てきましたが、今後はさらに多くの人々に「by me」の価値を届け、日常生活の一部として香りを楽しんでもらえるような提案を強化していきたいと考えています。
新規顧客獲得においては、単に販売数を増やすことが目的ではありません。大切にしているのは、「by me」の香りのコンセプトが顧客の生活スタイルや価値観に深く根ざし、リピート購入へとつながるような体験を提供することです。顧客一人ひとりの好みに寄り添い、カスタマイズ可能な香りの楽しみ方を提案し、日常に溶け込むブランドとしての存在感を高めていきたいと考えています。
Vividirは、こうした新規顧客獲得に向けた戦略立案の強力なサポートツールとなっています。先ほども述べましたが、『「by me」をより多くのお客様に届けるためにはどうしたらいいだろう?』と考える上で、Excelの作業時間を減らし、思考に充てられる時間を増やしてくれたことの価値が高いと考えています。
Vividirは「新規ビジネスモデルに挑戦する際に、迷わず事業戦略を策定できるフレームワーク」である
Vividirは、新規ビジネスモデルに挑戦する際に、企業が迷わずに事業戦略を策定できる強力なフレームワークとして、「by me」でも大きな価値を発揮しています。新たなビジネスを立ち上げる際、事業の方向性を見定めたり、計画を構築したりするのは非常に難しいです。特にこれまでに経験のないビジネスモデルへの挑戦では、全体像の把握と戦略立案の困難さが増します。こうした不確実性の高い状況でVividirはExcelに代わり、事業の構造を整理し、数字に基づいた戦略のフレームワークを提供することで、事業の意思決定をサポートしてくれます。
Vividirは大手企業で立ち上がる新規事業、その中でも社内で前例のないビジネスモデルに挑戦する人たちの強い手助けになってくれるはずです。
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