いきなりですが質問です。
ズバリ、スタートアップにとっての事業計画とは何だと思いますか?
「提出を求められたから、とりあえず作ってる」 「実用性はないかも?…」
そう感じている方もいらっしゃると思います。 というか、そういう方が大半ではないでしょうか?
実は、事業計画には大きく分けて4つの大切な役割があります。 これを知るだけで、事業計画への向き合い方がガラッと変わるはずです。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
1. 「事業アイデア整理ツール」
頭の中で描いている事業アイデアを、真っ白な紙に書き出してみてください。
「オフィスはこれくらいの広さで、人数は〇人くらいかな」
そう想像したとき、月の家賃だけでなく、敷金や引っ越し費用といった初期費用まで、ちゃんと想定できていますか?
事業計画を定量的な視点で立てることで、「そこまで想定していなかった」という抜け漏れを防ぎ、あなたのアイデアをより現実的で精度の高いものへと磨き上げることができるんです。
2. 「コミュニケーションツール」
もし事業を一人で回すなら、事業計画は不要かもしれません。 でも、投資家、銀行、事業パートナー、そして大切なチームメンバーが事業に関わる場合はどうでしょう? 事業計画は、ある意味「ラブレター」のようなもの。 あなたの事業への熱い想いや展望を伝えるための強力なツールなんです。
投資家にとっては、大金を投じる一大決心。 チームメンバーにとっては、貴重な時間を捧げる覚悟。 言わずもがな、そこには大きな意思決定が伴います。
だからこそ、真心込めて、事業計画という形できちんと説明する義務があるのです。
3. 「実行支援ツール」
「商品ができた!さあ、これからどうしよう?」
そんな段階で、事業計画は生ける羅針盤となります。
たとえ最初は「プロダクト・レッド・グロース(商品が良いから自然と広まる戦略)」を目指していたとしても、良いプロダクトを作るための資金集めに「最初は営業を頑張ろう」といった、具体的な実行フェーズが見えてくることも。
計画をきちんと整理しているか、それとも曖昧な考えで進めるか。 これによって、実行の質は大きく左右されます。 事業計画は、実行力を最大限に引き出すためのツールなのです。
4. 「仮説検証ツール」
不確定な要素が多いスタートアップの事業計画では、予想通りに進むことの方が稀です。
でも優れた事業家は、常に何通りもの仮説を立てています。
特にスタートアップでは、「プランAがダメだったら、その時考える」では手遅れです。AがダメならB、BがダメならC…と、矢継ぎ早に実行していく必要があります。
そこで役立つのが、事業計画で構造化しておくこと。
例えば収益構造をきちんと整理しておけば、もし実行して失敗しても、「この収益構造の、ここを修正してみよう」と、すぐに具体的な改善点が見えてきます。事業計画というしっかりした土台が、迅速な意思決定に役立つのです。
事業計画は「目標」ではない。目標達成のための「道具」だ!
さて、事業計画の4つの役割についてご理解いただけたでしょうか。 ここで最後に、とても大切なことをお伝えします。
それは、事業計画は「目標」ではないということ。
例えるなら、旅行に行くときの目的は「旅程通りに動くこと」でしょうか?それとも「旅を楽しむこと」でしょうか? 多くの方が「旅を楽しむこと」が目的ですよね。 もし楽しむためなら、途中で旅程を変更することも厭わないはずです。
事業における計画も全く同じです。
計画は、達成することが目的ではありません。 目標を達成するためなら、計画は変えて良いのです。 変わることを前提とした計画、それが「事業計画」なのです。
まとめ:なぜ事業計画を作るのか?
今回は「スタートアップにおける事業計画とは何か」という本質的なテーマでお話ししました。
なぜ事業計画を作るのか、その目的がクリアになっていれば、意味のある事業計画を作ることができます。 言うは易しですが、実際に手を動かすのは難しいですよね。
もしこれから事業計画を作る際は、ぜひ今日の「事業計画の4つの役割」を頭の片隅に置きながら取り組んでみてください。きっと、何をすべきかがクリアになり、計画作りがスムーズに進むはずです!
参考動画
先日、累計25万部超えのベストセラー『起業の科学』シリーズ著者、田所雅之さんのYouTubeチャンネルに、弊社の代表・木村がゲスト出演しました。
今回の記事はその動画のエッセンスを抽出したものになります。 フルバージョンもとても面白いのでぜひご覧ください。
木村と田所さんの貴重な対談は、きっとあなたの事業のヒントになるはずです。
「スタートアップにおける事業計画」とは何か https://www.youtube.com/watch?v=1JMUl_HqT7s スタートアップチャンネル様

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。