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超予算経営モデル(Beyond Budgeting Model)とは
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超予算経営モデル(Beyond Budgeting Model)とは

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BBMという言葉に初めて触れる方も多いかもしれません。

しかしながら、BBMは経営企画や事業企画に関わる方々にとって、今後必ず知っておきたい考え方です。

この記事を通じて、多くの方に興味を持っていただければ幸いです。

超予算経営モデル(BBM:Beyond Budgeting Model)とは何か?

いわゆる伝統的な年度固定の予算管理制度ではなく、年度途中で環境が変化しても柔軟に対応できるよう、予算を固定化しない経営管理モデルです。

従来の予算管理との違い

従来の企業経営では、年に一度、詳細な予算を組んで、その数字に沿って1年間を運営するスタイルが主流でした。

しかし、外部環境の変化が激しくなる中で、その方法だけではリスクが大きくなりつつあります。

BBMは、このような背景から誕生した新しい管理手法です。

中長期の「相対目標値」(前年比や対計画比など)を設定しつつ、短期間ごとに「ローリングフォーキャスト(Rolling Forecast:定期的に更新する予測)」を活用することで、柔軟でリアルタイムな経営判断を可能にします。

たとえば3カ月ごとに予算や見通しを見直す運用に切り替えることで、事業の変化に即応したリソース配分ができるようになります。

真の企業価値向上

BBMを取り入れることにより、業績評価と予算達成が直接結びつくことで生じる、組織にとって不利益な行動を抑制し、真の企業価値向上につながる活動も促進できます。

例えば、予算達成のためにあえて投資を控えたり、必要な人材採用を先送りしたりするような、本来の成長機会を逃す行動が、従来の予算制度では起きがちです。

BBMではこうした“数字合わせ”の行動を抑制し、たとえ目標を少し下回っても、長期的に見て企業価値を高める活動――新規事業の仕込みや戦略的な人材強化など――が評価される風土をつくることを目指しています。

予算管理から「経営の在り方」へ

BBMのポイントは、単に予算編成を効率化するだけにとどまりません。

BBMは組織文化や働き方そのものの変革にもつながる、非常に奥深いフレームワークです。

以下、BBMによってもたらされる可能性のある変革の例をご紹介します。

意思決定権の分権化

現場に近い部門へ予算やリソースの裁量を移すことで、意思決定権が分権できます。 これは、例えば新商品開発の予算を本社の一括承認制から、各事業部やプロダクトチームに一定額の裁量として与えるイメージです。 結果として、市場の変化や顧客のニーズをいち早く察知できる現場が、迅速かつ柔軟に意思決定を行い、より良い商品やサービスをタイムリーに提供できるようになります。

従来のように、すべての決裁を上位レイヤーに仰ぐ必要がなくなるため、スピード感が格段に向上します。

従業員の自律性とエンパワーメント

例えば、目標設定のプロセスを、上層部からのトップダウンではなく、チームや個人の主体的なインプットを重視したボトムアップ方式にすることが挙げられます。

従業員が自分たちで達成したい目標を深く理解し、その達成に向けた具体的な行動計画を自ら立てることで、「やらされ感」ではなく「自分ごと」として業務に取り組むようになります。

結果として、モチベーションやエンゲージメントが高まり、パフォーマンス向上に繋がります。

業績評価の絶対評価化

「前年比10%増」といった相対的な目標設定ではなく、「顧客満足度80%達成」や「特定の新技術導入プロジェクトの完遂」といった、その組織や個人のミッションに紐づく具体的な独立目標を設定するイメージです。

これにより、単に過去の数字との比較にとらわれず、将来の成長や企業価値向上に直結する本質的な活動に注力できるようになります。

また、外部環境の変動に左右されにくく、客観的な評価が可能になります。

BBMの歴史と実績

BBMの考え方は1990年代後半、スウェーデンやデンマークの企業で初めて取り入れられました。 2003年には「Beyond Budgeting Round Table(BBRT)」が設立され、その理論体系が整えられました。

現在では、ボルボ、Coloplast、ロッキード・マーティンといったグローバル企業でも、BBMの一部が導入されています。

参考:Beyond Budgeting Round Table http://bbrt.org/ ※http通信のため閲覧時の情報管理にご注意ください)

BBMのメリットと課題のまとめ

メリット

-市場や環境の変化に迅速に対応できる -部門ごとの自律的なイノベーションを促進 -リソース配分の最適化が進む -従業員のエンゲージメントが向上

課題 -中長期的なリソース管理が難しくなる可能性 -経営統制とのバランスが問われる -従来の予算文化からの移行に時間がかかる

日本企業との相性と導入の現状

日本企業では、完全なBBMの導入事例はまだ多くありません。

ただし、ローリングフォーキャストや目標管理の相対評価から絶対評価への移行など、部分的に取り入れ始めている企業も出てきています。

とはいえ、日本企業特有の「年次予算ありき」の文化との相性には、まだ課題も多く、現時点では段階的な導入が現実的だと考えられます。

BBMとVividirの関係

BBMの広がりを妨げているものの一つが、「予算編成の大変さ」です。

Vividirは、まさにその課題に向き合うために生まれたサービスです。

BBM的なアプローチをとる企業にとって、Vividirは「構造的な予算編成・予実管理の負荷」を軽減するツールとして機能します。

私たちは、経営企画や事業企画の方が、数字の整合性を取る作業よりも、戦略的・創造的な業務に時間を割ける世界を目指しています。

そのために、Vividirを通じてBBMの考え方の普及に貢献していきたいと考えています。

補足

米国のCFOが、予実管理のスタイルを4つに分類した図解がSNSで話題になっていました。BBMの位置づけを理解するのに非常に参考になるので、ご興味があればぜひ見てみてください。

https://twitter.com/LiuLindberg/status/1770899172016730622/photo/1

まとめ-BBMはトップダウンからボトムアップへ-

BBMは単なる「予算管理の方法論」ではありません。トップダウンで予算を押しつけるのではなく、ボトムアップで現場が主導し、柔軟に対応していく。

そうした組織運営のあり方が、今後の企業競争力を左右すると私たちは考えています。

企業の規模やフェーズに応じて、無理のない形で取り入れていくことが、これからの経営企画の新たな常識になっていくかもしれません。

弊社のプロダクトVividir(ビビディア)が提唱する「動的経営」は、変化の激しい環境において、企業が柔軟かつ迅速に意思決定できる状態を目指す経営アプローチです。

BBMを取り入れたい!と感じた方はぜひデモ予約をしてみてくださいね。

伊藤 実紗

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。

短いサイクルを高頻度で回して成長する様子
短いスパンで非連続な企業成長を遂げるモダンな組織のためのインフラ