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新規事業をあまた支援してきた企業が語る 新規事業の失敗あるある
イベントレポート

新規事業をあまた支援してきた企業が語る 新規事業の失敗あるある

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本セミナーの内容を3つのポイントでご紹介

  1. 新規事業を進める際の適切な組織は、新しく始めようとしている事業の領域やビジネスモデル、会社の風土に応じて資本・会社・事業・部門とどの単位で切り出すべきかを考えることが望ましい。
  2. 新規事業の意思決定の失敗は早くたくさんしたほうがいい。ただ失敗を取り返すのに時間のかかる意思決定や不可逆性の高い意思決定はしっかりと考えたほうがいい。また、新規事業はスピードが大事なので、新規事業の専門家の意見を早めに取り入れることも重要なファクター。
  3. 新規事業を始めた企業の多くの悩みに「いざ事業を始めたが、思ったよりもスケールしない(儲からない)」がある。顧客の課題と解決策を探すことを行いながらも、「この事業はスケールできるのか?」のシミュレーションを早いタイミングで行っておくことが望ましい。

登壇者紹介

本間さん

株式会社ライズ・コンサルティング・グループアソシエイトパートナー 本間 善丈

米UCLA経済学部卒業。 MBA。ジュピターテレコム、電通、デロイト トーマツ コンサルティング、FIND、Ignition Point、Shippioを経て現職。 製造・メディア産業を中心に、コーポレートビジョン策定、中長期事業戦略策定、R&A戦略策定、新規事業戦略策定、新商品企画・開発支援、イノベーションセンター設立支援等に従事。 デロイトのイノベーション・プラクティス立上げや、Ignition PointのStrategyユニットの事業責任者としてコンサルティング事業の立上げに従事。 国際物流スタートアップ Shippioにおいてはビジネスサイドを統括。 事業アイデア創出から、プロトタイピング、マーケティングの経験を多く有し、担当製品のローンチ、各種アワード受賞も多数ある。

佐古さん

Spready株式会社代表取締役 佐古 雅亮

2008年(株)インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に新卒入社。 人材事業にてキャリアコンサルタントや法人営業部門のマネジメントを経て、スタートアップ支援事業を立ち上げ当該部門を管掌。 2018年5月Spready Inc.を創業、代表取締役就任。 起業家ならびに、事業会社における新規事業推進の双方の経験を持ち、Spreadyでは、0to1フェーズを中心に1,800件以上の新規事業支援を従事。 自身が専門とするドメインはマッチング領域、HRTech全般。

木村さん 1:1

株式会社プロフィナンス代表取締役 CEO 木村 義弘

1980年生。2004年大阪府立大学工学部卒業、2006年東京大学大学院工学系研究科修了。 2006年、ベンチャー投資・コンサルティングを展開する株式会社インスパイア入社し、投資検討から投資後の経営支援、特に複数のスタートアップの事業計画・財務計画策定に携わる。 ベンチャーのインド子会社立ち上げ後、デロイトトーマツコンサルティングに入社、ミャンマーオフィスの新規立ち上げに従事。現地では日系企業のデスクとして新興国戦略策定・政府向け産業政策立案等を主導した。 事業会社において、国内外のM&Aを主導し、買収後、各社CFOとして経営に従事、管理体制の構築を推進した。 2018年、プロフィナンス創業し、変化に強く、企業成長を加速させる動的経営プロダクト「Vividir(ビビディア)」を開発、提供。 他、新規事業立案等のコンサルティングにも従事。 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。

新規事業の組織開発の失敗あるある

本間さんseminar

本間 善丈氏(以下、本間氏):皆さんこんにちは、12時ですね。お集まりいただきありがとうございます。本日ですが、「新規事業をあまた支援してきた企業が語る新規事業の失敗あるある」というテーマで1時間ほど語らせていただきます。今日の登壇者ですけども、私、ライズコンサルティンググループの本間と申します。そしてスプレディの佐古さん、そしてProfinanSSの木村さんが登壇させていただきます。既にですね、経歴等をお読みになられてると思いますので自己紹介は割愛させていただきます。

組織開発の失敗

では早速ですが、一つ目のトピック行かせていただきます。新規事業の組織開発の失敗あるある。ということで、今日登壇してる3人とも失敗を相当してきておりますので、まずそのテーマから行かせていただきます。今ちょっと笑っていた、木村さん、お願いいたします。

木村さん

木村 義弘氏(以下、木村氏):はい、ありがとうございます。組織開発での失敗話はもしかしたら多分、本間さんと佐古さんの方がよくご存知なのかなと思うので、そこら辺は僕はさらっとにして、皆さんに深掘ってもらいますね。僕自身もね、大手企業とか新規事業のコンサルティング会社の中で新規事業やってたみたいなのがありますけれども、皆さん共通のお悩みとして大きく2つぐらい聞きますよね。1つ目がですね、既存事業から人をちゃんと引っ張ってこれないみたいな、いわゆる「コア人材不足」。引っ張ってこようにもいわゆる部門間ブロックみたいな状態になったり、一応引っ張ってこれたけど兼業しがちみたいな話があって。ちゃんと専任にした方がいいんじゃないすか、みたいなところがあったり。2つ目は評価制度が追いついていないので、結局「新規事業をやってるのに、既存の事業の評価に頼っちゃってどうしよう」みたいな。全然報われないみたいな話もあるっていうところで。ここら辺、もしくはもっと他にもこういうのあるみたいなところを含めてですね、ぜひむしろ本間さんや佐古さんのお話を聞きたいなと思ってます。よろしくお願いいたします。

本間氏:よろしくお願いします。そしたら佐古さんまず行ってみましょうか?

佐古さんseminar

佐古 雅亮氏(以下、佐古氏):スプレディの佐古でございます。よろしくお願いいたします。そうですね、今のお話の中だと一番アンタッチャブルなんですけど、やんなきゃいけないのは評価だったりするんじゃないかなと思いますよね。やっぱり既存事業と違って新規事業ってアウトプットをどう評価するかっていうのがやっぱりすごく難しくて、割と時間軸も既存の事業より長いものが多いときに、「どうやったらみんな新規事業に挑戦する部門に人を送り出してくれるのか」っていうのをやっぱりやるのが一番難しいかなと思いますね。ただもういきなりそういう制度を作るっていうことがやっぱり難しいので、結局立ち上がった事業とかの実弾をこう見せてあげないとですね、なかなか組織を動かしていくのは難しいかなというふうには思ってます。そういうのを私はピッチャーって言うんですけどね、ピッチャーの方が、新規事業に本当に集中して、取り組める環境を作るのかってのは一つこの組織開発はテーマになるかなというふうに思います。

本間氏:ありがとうございます。組織開発っていう点ですけども、今評価制度という話出ましたが基本的にですね、新規事業の開発皆さん、今日ご視聴されてる方も経験してると思いますけども、既存事業もやっぱり相当コミットメントもいるし大変だと思います。
一方で毎日小さい失敗を繰り返していくことになるので、減点法でやってしまうとマイナスを振り切ってしまうぐらいの評価になってしまうっていうところもあって、特に0→1フェーズでまだそこまで売りが立ち始めるっていうところまでいかないところに関しては、既存のどれだけ売り上げを上げるとか、そういったことではなくて、活動であったりとか行動量とかその他定性目標とかを立てて評価していくような仕組みにしないと、なかなか難しいんじゃないかと思います。そういった点で結構OKRとか、定量と定性目標組み合わせながらやっていけるっていうところがあってやりやすいんじゃないかと思います。
新規事業でも売れ始めるフェーズ、PMFするかしないかとかのフェーズ、それぐらいになってくると、ある程度定量で売り上げとか目標を設定できるようになってきますんで、それを各人コミットさせるっていう意味でそっからガリガリ詰めていってもいいんじゃないかと思ってます。組織開発で言うと他の視点もありまして、これ組織とか制度の話になってきますけれども、今回事前質問の中に結構「出島がいいんじゃないか」とかできないとかそんな話があったりとか、あとは品質保証とかそういった話もありましたけど、結構初期のフェーズだとかなり仮説検証をスピーディーに回していかなきゃいけないんで、組織的な整備を全く進めないで、例えばまだ全然品質も保証できないようなプロダクトに対して、既存事業の品質保証基準を当てはめてしまってにっちもさっちもいかないと出せないとかっていうのも、大企業でやってると起こってきますし、契約を結ぶとか、NDA締結って普通、新規事業をやり慣れてる組織は多分1日や2日でできちゃうんですけど、2ヶ月かかっちゃう、そういったことも往々にして起こったりであったり。
それとか広告宣伝費を出したいんだけど、いちいち広報とかのお伺いを立てなきゃいけないから、さくっと出したいのに2週間、準備期間がいる人とか、結構笑えるけど笑えない話っていうのが大きい組織になると起こってきてしまうので、その辺をどうするかっていうのを事前にですね、組織間でしっかり握っておいたりとかできるのできるのであれば、出島的な組織を作るっていうのがいいのではないかなと思います。木村さんいかがですか?

木村氏:僕も実はご支援させていただいてる会社さんとかがあるんですけども、大手の企業さんで大きく二つあるかなと思ってます。事業の立ち上げ初期ステージをあえて外に出してしまって、なんかこれ代理出産っていうらしいですよね。そういうようなタイプだったり。
もう一つはなんかもうスタートアップ制度みたいの作って、社内からも起業してくれと。起業して、もう何だったら、外部から資金調達をして、「必要に応じて何か例えば報奨金を出すよ」みたいな制度を作って何とか羽ばたかせようみたいなことをされてるところもあるかなと思うんすけども、何かこの取り組み自体はすごく面白いなと思いますし、かついいかなと思ってますけどここら辺、佐古さんや本間さんとかどういうふうに捉えられているのかなと思ってぜひご意見いただければと思います。

佐古氏:ありがとうございます。私もコメントさせていただく他の事業案というか、戦略上どこを狙うかに結構よるかなみたいな気がすごくしますよね。とにかく組織をどうするかっていうテーマでるときって、基本的にあのスピードをいかに落とさないかっていう観点から、例えば出島がいいとかですね、もう完全に切り出した方がいいっていう形だとスタートアップとか、代理出産モデルみたいなものも出てきたりするんですけど、隣接領域の新規事業を狙うときって既存事業の傘の下に置いておいた方がいいジャンルって結構ありますからね。なので、ビジネスアイディアにやっぱりよるんですけどそのビジネスアイディアそのものを、どういう戦略でその会社さんが進めていくのか、どこのクライテリアのものを狙うのかとかですね。何かそれによるかなっていう気はすごくしますね。手法論として最近多いですね。出島戦略をさらに加速させるものとして、と思います。一つあるのは代理出産はメリット大きいと思いますね外に出しちゃうっていうのは。やっぱりうちみたいなスタートアップが出すっていうのものと、大手企業様が出すというものだと突破しなきゃいけない品質水準が全然違いますからね。これ結構割とスタンダードになってくるんじゃないかなと思っていたりします。本間さんいかがですか。

本間氏:そうですねやっぱりSaaSとかそういうのを作っていくときはスピードが極めて重要だったりもしますんで、外に出してしまった方がいいと思います。逆にすごいキャピタルオリエンテッドな事業で一発2何百億円の投資が必要とかそういう大きい事業になってくると、別に出さなくてもいいんじゃないかっていうような。例えば総合商社さんって大きいとし、結構多いじゃないですか。その場合って出さなくても回ったりすると思うんで、もう既に何か隣接業領域とかそういうので、新規事業確立されてるようなもの、数値はそのままでいいかなっていうふうには思ってます。
ただ結構今日本企業で多くやろうとしているのが、隣接でもないけど、ちょっと新しいことをやっていこうっていうのをいくつも玉を作ってやっていこうとか、そういったことをやろうとする場合は、外に出していくと代理出産させる方が、生存率というか、成功率上がってくんじゃないかなと思っております。
あと外に出した場合、スピードの差なんですけども、私も大企業でもスタートアップでも働いてましたけど、やっぱり3倍から10倍ぐらい(スピードに)差がでるなっていうふうに思ってます。1社内でも伺い立てたりとか、実際の事業成長に関係ない、社内政治的な議論みたいな、社内にどうしても出てきちゃって、そういったものがなくなるので、非常に早くはなってくると思います。この辺今実際にスタートアップやられてる木村さんいかがですか。

木村氏:ありがとうございます。こう見えて社内政治がうまかった方だったので、なんか考えた中で利用すればいいっていう風には思ってました。ある程度そこがボトルネックになるっていうのは想定するんですけどその分大きな資本を動かせたり、大きな資産を動かせたりとかもしくはチームを作れたりとかするのでうまくそれは、あの活用しがいがあるなと思って。割と新規事業の担当者の方って正義感強い方多いじゃないすか。だからこそ「ちゃんとしたプロセスに沿ってやんなきゃいけないんだ」みたいなことを考えてそこでぶつけてみんなで承認を取ろうみたいなことを言うんで、その中で何か「なんで僕の言うことがわかんないんだ」みたいなことおっしゃるんですけど、「いやいやあのちゃんと根回しください」と。Googleですら前向き根回しをやってるので、何かそこら辺はうまくバランス取れるのかなと思っていまして。
とはいえ、あのやっぱりガチガチに固まった会社さんとかであれば1回外に出してやっていくっていう方が、なんか特にプロダクトの性質上いいって場合も多いのかな。なんか特にITとかそこら辺の領域であればそうですし、製造業を含むキャピタルオリエンテッドっていう本間さんおっしゃられてましたけど、基本的にその設備が必要だみたいなことをやっぱり生かして何とかね、進めていく必要があるかなというと、使い分けていくことが大事だと思います。

本間氏:はい、ありがとうございます。というわけで、組織開発だけでもほぼほぼ15分近く話してました。組織とどうしても切り離せないところで、意思決定というのがあると思います。意思決定に関してどうしましょう。まず佐古さんからですね、どんな失敗が起こりうるかっていうのをですね、少しご紹介いただければと思います

新規事業の意思決定の失敗あるある

意思決定の失敗あるある

佐古氏:新規事業のピッチャーやってる上で、どんな意思決定の失敗があるかっていうやつですね。僕がよく見るのは、検証プロセスをすっ飛ばして「最終的に売れないプロダクトができちゃう」みたいなのですね。なんかそれがすごくいっぱいよく起こってるなーっていう気がしますね。
結局今って、日本国国内のお客様の数法人税も個人でもいいんですけど、どんどん減っていくじゃないですか。あの人口減少期に入ってくるので、そうなってくると、やっぱり単価しっかりとらないと、あのビジネスやっぱり作れないと思ったときに、そのやっぱお客さんの深い課題に刺さってるかどうか。
今で言うとPMFってよく言われますけどね、結局あれが全てなんじゃないかなっていうふうに思ってきたときに、もうローンチをしていてマーケティング戦略とかでも何百万何千万って動かしてるんですけど、今の課題を突き詰めて考えると、手前の方にやっぱり課題があってですね、それで大きくすごく変えるのがしんどい、苦しいし決定しなきゃいけないっていう事例が出てくるっていうなんかそんな感覚がありますね。意思決定で言うと、僕はあのプロセスを飛ばさないってのは結構大事にしていますかね。

本間氏:ありがとうございます。木村さん、いかがでしょうか?

木村氏:ありがとうございます。佐古さんとはまた違った切り口でお伝えすると、よくある話で、これ現場の新規事業のご担当者の方も事務局の方も何だったらそれを推進する役員の方も結構お困りになってる部分かなと思うんすけども、結局「既存事業の延長でいくのか、それとも飛び地なのか」みたいなお話があるかと思います。
アンゾフのマトリックスみたいな整理があって整理できるんですが、結局なんか「一番最初に獲得した市場の開拓がやりやすいっすよね」みたいな話。「新製品開発もちょっと投資が必要だったりとかするのでリスクも伴いますけども、まだまだいけます」とか。ここまでの整理は確かに現場の人たちができるんだけども、たまに聞くのが「役員に『もっと面白い新規事業のテーマないのかとか言われるんです。』」と現場の人がそう言われると。
「どうしましょう木村さん」と。相談をもらうときは、僕は「その役員さん連れてきてください」って言ってて、「いやそれは役員さんの仕事ですよここら辺の多角化の話って結局は」と伝えています。事業ポートフォリオ見直して、その上でメガトレンドから予測する。多分これは本間さんがお得意なところですけど、結局自社のビジョンとミッション行く照らし合わせて5年後から10年後ぐらい主軸になる新しい事業を考えるのって、経営者でないと無理じゃないすかと。それを何か「現場の人に何でもちょっと面白いもん出せばいい」みたいなことはそもそもどういうことかと。「経営者としてちゃんと仕事してください」っていうふうに僕から言った方がいいですかみたいな話をしていますね。

アンゾフ

本間氏:なるほど。今結構本質的な話をしていると思っていてやっぱり経営的なリスクが伴うに関してCXOをレベルとか、役員レベルで決めていく考えるっていうのは非常に重要だと思います。もちろんアイディア自体は、現場からあの吸い上げるってのはもちろんできると思いますけど、今おっしゃっていたちょっと役員の方で気になったのは、「もっと面白いアイディアはないか」っていうのと、そもそも面白いって何ですかっていう、そこに「コンセンサスがあるのかどうか」っていうのがあるかなと。新規事業を始めていくときに、さっきマトリックスで4象限出していただいたと思いますけれども、それぞれのどこの証言の話をしているのかっていうの左上の証言の話をしてるのが右上なのか、右下なのかっていうのが、しっかり言葉が定義されたりとか、その言葉に対してみんなが同じ理解をしているかどうかっていうのをしっかり確認していくのが大事だと思います。
例えば、経営層が実は左上の部分をやりたいと言っていたのに右上とか、右下を持っていくと、あれ、3ヶ月かけて何やってたんだな話とかにもなったりすると思うんで、そういう共通言語を作っていくってのは、特に新規事業においては大事なんじゃないかなと思います。例えば、皆さんに私がランプをイメージしてくださいって言ったときに、ある人は、ペンダントライトをイメージしたり、ある人はテーブルランプをイメージしたりとかあるいは懐中電灯イメージしたりとか、同じ言葉でですね、違うことも描いたりするので、しっかり意思決定において、こういった言葉の定義をしていくってのは大事だと思います。
特に新規事業だと、まだ誰も作ったことがないとか、市場のスタンダードが決まってないとかそういうものなんで、思い浮かべるのに、本当にまちまちになっちゃうので、そういったところは気をつけて行った方が、ええ、いいと思います。ちょっと喋り過ぎましたけども、この意思決定に関して、木村さんと特に数字面とか、あの計画面とかで、気をつけていくべきこととかって何かありますか。失敗例も含めて。

木村氏:そうですね。よく僕これ完全にポジショントークって言われればそれまでなんですけど、やっぱり「数字が結構後ろ回しになってるケースが多いな」というのがありまして。最近、ステージゲート法ですっけ。広がっていったなっていうのはなんか日本でも成功事例があって、みたいな。新規事業のアイディアをちゃんと集めて、それをいくつかのマイルストーンを切って絞り込んでいく、みたいなところで結構広まってきているなって。
これ自体はいいことだと思うんですけど、いろいろ聞いてると数字後ろ回ししてると。数字で考えるのは後回しでいい、みたいな話になってて「おかしくないですか」と僕は言いたい。多分この後のトピックで出て改めてっていう形だと思うんですけど、数字がないと、アイディアが事業として立ち上がりましたって言っても、そのあと共通して起きうる失敗があるというとこですかね。実はステージゲート法が成功している会社さんって、前提として数字に強い組織だったりするわけです。なので、数字を後回しにステージゲートを入れたって何も変わんないっすね。より空中戦で終わっちゃいますね。みたいなのが正直な所感としてあります。

佐古氏:ちょうどQ&Aとしていただいてるものがあって、ライブで回答します。これも実は数字っていうのが回答の一つなのかなと思いましたけどね。「自分の言葉では信用してもらえないから、プロの方に伝えてもらう方がいいということもとてもよくわかるのですが、結局その場を段取った時点で、何か現状を否定してると思われる人が少なからずいるような気がしていて、そこに関してはどう思われますか」と、「もしくはそこら辺をうまく進める裏技みたいなものありますか」っていうテーマで。
例えば、あの役員の方をグリップしておくとか、そういうのも裏技的にはあるんですけど、やっぱりなんか数字をちゃんと示すっていうのが結構大事かなっていうふうには思っていたりしますね。結局、問われてるのってやっぱり僕たち資本主義のど真ん中で、やっぱり会社内でやられていると思うので、結局儲かるか儲からないのか、どれぐらいのビジネスになるんだっけみたいなことが、最終的な答えかなっていうふうに思ってたりするので。
何かこの、今木村さんお話いただいた数字、例えば事業ツリーを分解して事業構造を作っておくとかって、もうなるべく早いタイミングでやった方が僕はいいかなと思っていて、それは説得材料にもなるんじゃないかなと思ってたりしますね。

本間氏:そうですね。数字はしっかりやった方がいいんですね。特に新規事業あんまりやったことがないですっていう人も、これ組織ともやっぱり関わってきちゃうんですけど、組織にどの役割の人が何人必要かみたいな設計とか。新規事業を作っていくときに本当に極めて重要で、ここを間違うと、あのスピードが落ちたりとか、採用って時間かかったりするんで、プロジェクトが停滞したりとかっていうのが起こってくるんで、そこしっかりやっていく必要があると思うんです。
ただやったことがない人だと、なかなかできない。事業を進めていく中で、3日や2週間、1ヶ月とかでどんどん事業状況が変わってきたりもするので、どれぐらいその先に人が必要になるかっていうのを見通す必要があるんですよね。ただ、わかんないじゃないすか。なので、似たようなことをやったことがある人に、例えばプロの人もいるし、お友達かもしれませんけども、しっかりと聞いた上でやっていくのがいいと思います。
いただいた質問で「プロの方に伝えてもらう方がいいんでしょうか」みたいな質問になってると思いますけども、プロの使い方もおそらく大事で、上長が役員レベルに伝えるときに突然プロを連れてくるとですね何か対立構造とかなったりもするので、やり方としては、何かこういう、こういうことをやってる面白い人がいるんで、何かランチでもしませんかとか、飲み会でもしませんかみたいな場で、ある程度ラポールができてから伝えていくのがいいんじゃないかと思います。
これも含めてやっぱり「新規事業は根回しが重要だな」と思いますけども、やり方も含めてちゃんと考えていくといいんじゃないかと。あと意思決定の失敗あるあるどうしましょうか?佐古さんにちょっと聞いてみたいんですけど、今スプレディを急成長させていると思いますけども、大なり小なり、かなり失敗してきてると思いますが、自分の中で印象深い意思決定の失敗ってどんなものがありますか?

佐古氏:そうですね。基本的に事業の立ち上げのピッチャーの立場だと意思決定はいっぱいやっていっぱい失敗するのが正しいっていう感じがすごく僕はあるので、全部よかったなというふうには思いますね。ただ、時々ですね、何でしょうかね。取り返すのが大変な意思決定っていうのがあってですね。例えばファイナンス資本政策の話だったりスタートアップの場合はそうですし、あとは採用とかですかね。
これは大手企業様の新規事業開発でも、スタートアップでも一緒だと思うんですけど、こういうなかなか日本だと後戻りができないような意思決定っていうのは、失敗すると取り返すのに1年とかかかるときがあったりするので、ここだけは今までのスプレディでも、ここはこうしておけばよかったなって思うことは結構あったりしますかね。

本間氏: 共感しますね。ええ。やっぱり日々のオペレーションの中で、失敗してもあんまり痛くない失敗っていうのは全然してもいいと思うんです。逆にそこに時間割きすぎてスピードを落とすっていうのは避けた方がいいと思うんですね。ただ、事業上、いろんなマイルストーンがあって絶対落とせないところに関しては、もうしっかり考え抜いて、しかも気合と根性で絶対成功させるっていうコミットメントは必要なのかなって思います。
頑張れば失敗にならない可能性もあるっていうところもあって、どこまで踏ん張れるかがあるかと思います。結構ちゃんとしっかり考えておけば失敗しなかったっていうものたくさんあったりするのは、例えば事業領域の設定とかそういうのも、ちゃんと考えてれば絶対ここ選ばなかったなみたいな後から出てきたりしますんで、新規事業ってとりあえずやってみようみたいなマインドが大事って言いますけど、結構成功してきてる人って、考えに考え抜いた上で、排除しきれない不確実性に対してはやってみようってやってますけど、かなり考えてると思うんで、そこはしっかりと真似たほうがいい。

佐古氏:何か先ほど数字の話も含めて繋がるお話をすると、スタートアップの世界とかだとTwitter(X)とかでですね、こうした方がいい説みたいなのがすごい流れるんですよね。側だけパクると、なんかすごくやっぱりミスった施策とか、遠回りになったこととかがすごく多くて、やっぱりどこまでいってもその事業を一番詳しいのは自分なんだっていうことでしっかり考えていかないなっていういけないなっていうふうに思います。
数字に繋げたときのお話をすると、スプレディの場合はですね、KPIドライバー見つけるの結構時間がかかりました。ビジネスモデルがこういうビジネスモデルを持ってくるっていうタイプよりはビジネスモデルそのものも新しく作らなきゃいけないっていう形だったので、本気でエクセルを使って因数分解すると、70行ぐらいになるんですよ。売上に戻るところで、BtoBのプロダクトにCtoCサービスくっついてるみたいな感じなので。
なんですけど、今はKPIドライバーも1個だけなんですね。ある1個だけなんですけど、それを見つけるのがすごい大変で、ビジネスモデル自体に対する自分の解像度が荒いんで、いろんなことやっちゃって遠回りしちゃったとか、お金を使っちゃったとかそういうのが何か思い浮かべますね。
なので木村さんがお話されてる数字も、事業計画を必達するっていうそういう、いわゆる次の既存事業における数字というよりかは、KPIのドライバーを最初何なんだっけっていうのをブレークダウンして可視化するって意味で数字めっちゃ大事って思いますね。

本間氏:ありがとうございます。

木村氏: もうまさしくそうで、特に佐古さんがおっしゃっておられる、売上を構造として捉える。そのためには事業をちゃんとブレークダウンしていくっていうところがおそらく大事で。数字自体は結局ぶれるじゃないすか。特に新規事業ってのは数字がぶれますと。なので構造自体を検証していってKPIは何かっていうのを見極めるのが大事なんすけど、実は構造はそんなにぶれないんですよ。
そのビジネスをやる上では。だから、まず構造をちゃんと可視化しましょう、共通認識を持ちましょうみたいな。その上で、数字が1個1個ずれていきますっていうところは検証できるので、構造分解をちゃんとやっていらっしゃるのでさすが佐古さんだなと思って聞いておりました。

佐古氏:いえいえ、あの、70列を1行のKPIドライバーするのに、結局1年半ぐらいかかっちゃったんですけど、最初っからそれがわかってれば、2年は短縮できたはずなんで。

木村氏:むしろ早い方だと思います。

佐古氏:でもなんだかんだ創業から6年ぐらいかかりましたからね。そこは失敗だったかもしれないですね。意思決定の。

本間氏:でも、KPIドライバーとか、何か見つかっちゃう瞬間ってあるじゃないすか。「おお、きた」みたいな。そこまで持ってくためにもやっぱり、日々ちゃんと検証できる形で業務設計していく必要がありますよね。

佐古氏:そうですね。失敗は大歓迎なんでどんな細かいものでもいいんですけど、ちゃんと振り返って、数字として持っておく指標みたいなものをちゃんと持ってくっていうのは大事ですよね。

本間氏:ですね、振り返りは本当に大事だと思います。例えばプロダクト開発でもある機能をリリースしました。その後、リリースしっぱなしのところとか往々にしてあると思うんですけども、リリースして1ヶ月ぐらいした後に、実際それでお客さんに使われて、お客さんに満足されているのか。そして、それが売上向上に繋がっていくかっていうのをしっかりレビューするみたいな、そういったところも含めてですね、意思決定をするだけじゃなくて、意思決定するための仕組みとかっていうのも必要なんで、そういったものはね、しっかり作っていくといいですよね。

木村氏:実際に事前のご質問でもあったんですけど、「いい失敗と悪い失敗って何ですかね」という話があって。まさしく今皆さんがおっしゃってくれたことが答えなのかなと思ってまして。ちゃんと構造化して検証していった結果やめましょうっていうのは、多分失敗じゃないと思うんすよね。そうではなくて、何となく検証しないまんま、何か1個1個その売上がうまくいったか行かないかみたいなレベル感で割とフワッとした状態で、何か結局黒字なんないからとか売上が上がらないから撤退しよう、みたいなのが失敗かと。
良い悪いの検証のしようがない学び直しもない。新規事業担当の方が傷ついてただ終わったっていうものになるので、ここら辺の振り返りをちゃんと落としてやっていくというのが大事なのかなというふうに思います。どうでしょうか。

本間氏:極めて大事だと感じていて、しっかりとそういう検証できるように設計して進めているチームとか企業って成長が早いですね。本当に強いチームができていくと思うんで、そういった本質的な部分に集中しなきゃいけないのかなと思います。
さてちょっと次のトピックに行く前に1つご質問をいただいています。「ビジネスアイディアをたくさんブレストなりで踏み出したときに、どのような基準で絞り込むがいいか」についてアドバイスがあれば教えていただきたいということで、おそらくたくさんやっているであろう佐古さん、お願いいたします。

佐古氏:これ実は次のセッションテーマで、多分付随するなと思いながら拝見させていただいていましたね。ちょっと次のテーマ写していただけませんか。

新規事業の顧客と市場感の失敗あるある

顧客と市場感

佐古氏: ありがとうございます。顧客と市場感ですね。最近、デザイン思考みたいなものがすごく流行ってるのでですね。なんかイシューとかペインみたいな言葉になるんですけど、最終的にはやっぱり市場的にその儲かるんですかみたいなところが一番大きいかなっていうふうに思ってるんですよね。
なので、どれぐらいの規模のビジネスになるのかどうかっていうことを、結局はやっぱりあの会社は見てきますし、ステージゲートで最初見ないってなっても最終的にはそこに到達するので、どれぐらいのビジネス規模をこのマーケット・この事業アイディアは作れるのかっていうので、僕は事業性の評価をするようにしていますね。

本間氏:なるほど。事業性の評価はまずやっぱり一番大事なのは、本当に儲かるのかっていう部分ですね。わかります。儲からないとどっかで外野に見放されるので。コーポレートファイナンスもできない、外部での調達もできないっていうことになるんで、やっぱりそのビジネスとして成立するっていうのは極めて重要だと。
あとはタイムラインの課題っていうのもあると思います。例えば技術的にどれだけ不確実性があるかっていう。例えば、15年前だとしたら、電気自動車や全固体電池ができるのかできないのかっていう話があったときに、かなり不確実性高いよって話でしたと。
ところが2024年現在の解像度でいうとあれいけるんじゃない?っていうところまできていたりするので。そういった時間軸も含めた確実性で考えていく必要があります。他にあるのが、これ大企業だとよくあるんですけど、CSRか、CSVとかっていう、すごくいいコンセプトなんですけども、新規事業を立ち上げるときに関して言うと、ノイズとか邪念になりかねないものが、やっぱ社会に貢献するものだから、市場規模はこんなにちっちゃいけどいいんだ。みたいな感じになっちゃって。
やり始めると本当にお客さんもいないとか結構げんなりしてくるっていうのがあったりするのと、あとそういう事業を始めてしまうと、売れないので社内的にもあんまり評価されないとかっていう、結構不運な部分を食べることもあるので、やっぱりちゃんと需要があって、お客さんがお金を払ってくれて売れていて、かつ市場もそれなりにあって会社が喜ぶ、使ってるユーザーさんも喜ぶっていうようなそういったことを意識していくのがいいんじゃないかなと。木村さんこの辺いかがでしょう。

木村氏:ありがとうございます。なんかCSRの話をし始めるとまた何かそこだけで時間がくるのであまり触れないようにして。市場の話も皆さんがおっしゃっていただいた話の中で実は用意してきたやつがありまして、最近割と「ここよく失敗するんですよね」っていうところのお話がありまして。僕よく最近こうやって見せてるんですけども、定量的な観点の設計を後回しにしても、そもそも事業解像度がないですよね、と。さっきの話でもあるのですが、事業性の話において、最近いろいろなかたをご支援していく中で、ほぼほぼ事業化した後に失敗してしまっている。10件のうち9件くらいまでが、結局事業性が高いところに挑戦できていない。
つまり、もうちょっと別の言い方をすると、「いやこれ売り上げたところでさ、うちでやる規模でなくない?」っていう話が結構ある。ここら辺のちゃんと、あの処方箋をどう立てるかなみたいなところなんかはスタートアップを自身でやってると、当たり前にこういう思考になるのですが。ちゃんと顧客セグメンテーションしてくださいよ、と。佐古さんや本間さんが言ってくださったところなんですけど、最初の初期ターゲットで終わることが多いんすよね。
初期ターゲットの解像度はめちゃくちゃ高くあるんで最初の市場に関してはめちゃくちゃハマる場合が多い。しかも、やっぱり大手の企業さんだと、それなりに資産やアセットを持っているので、ちゃんと刺しに行けるようなサービスレベルでプロダクトを作れるっていうか。ただ、実はこの顧客Aを攻略したっていう表現でいいのかなあれですけど、正直、同じような地続きのペインを持っている顧客Bとか顧客Cが拾えてると、最終的に顧客D顧客E顧客Fまで広げるんだよねみたいな話もあります。
ここら辺まで描けていると、市場規模やSOMの話が出てきているっていうところがあって、事業性が大きく見える。ただ、顧客Aだけ見て事業化しました。そうすると、さっきみたいに「この売上規模でやるもんだっけ?」って言われて、「いやどうしましょう」となり顧客B顧客Cを考え始める。そうすると結局のところ時間オーバーになっちゃうみたいな話もあるので、ここら辺はある程度想定しておく。顧客BCとか全部解像度を高める必要はないかもしれないですけど、少なくともどういうストーリーで、塗り絵を塗っていくかみたいなところを描いて、それをプロダクトのロードマップに置いといてみたいなところの取り組みが必要なんじゃないすかねみたいなお話をさせていただいてたりします。

ロードマップ

本間氏:ロードマップみたいなのが大切だと思います。顧客と市場感っていうので、いきなりSAMとかTAMを見てすごい大きいじゃんとか言うんだけど、そこにですね、登って行くまでの登り方みたいなのも大事で、いきなりSAMには行けません。いきなりそんな全部別に取れるわけじゃなくて、SOMで想定している部分にたどり着くまでに、こっち行ってからこっちに行って、みたいななんていうんですかね。クリティカルパスというか、そういうものまで含めて、自分の頭の中で具体的に想像できているかどうかっていうのも大事だと思います。
あとさっきのアイディアをどうやって絞り込んでいくかっていう部分にも繋がってくると思うんですけども、事業を選んでいくときに、もうバイネームで、誰がたくさん買ってくれるのかとか、どうやってそのプロダクトを提供してっていうのが想像できるまで、解像度を上げることができるのかっていうのが選ぶ基準になってくるんじゃないかなとは思います。
絵を描くってそこまで難しくなくて、慣れてる人だったら特に。例えば最近だと常温核融合の研究がちょっと前に進みましたっていうのがあると思うんですけども、これね夢のエネルギーじゃんと。そう思うんですが、ただそれってどうやって熱を取り出してエネルギー取り出して発電に繋げるんだみたいな話になると、相当なギャップがあったりとか、実はできなかったりとか、そんなもん誰が買うんだって話があったりするので、長期的な研究開発と実際の新規事業っていうのはしっかり分けて考えるべきだと思うし、結構長期的な研究開発に対して新規事業にしようと思ってる人がいたりするので、しっかり分けて考えていくべきかなと。
似たような、ご自身の失敗じゃなくてもいいし、お客さんの失敗でもあったと思うんですけど、佐古さんこういったことって何か、どんなことがありました?

佐古氏:そうですね。アイディエーションも絡めると、どう考えても新しくこういう市場ができて、その市場が爆発します、みたいなことがやっぱりないので、今の日本だとですね。豊かになっていくベクトルより、どちらかというと衰退局面に入ってる社会の中で考えろっていうふうになると、やっぱりどこまでいっても顧客解像度でやっぱり考えていくべきだなというふうに思いますね。
失敗で言うと、僕たちの場合は今みたいな、まさに木村さんに投影いただいたようなことを考えきれてなかったのはあってですね。もちろん検証して進めていってましたけど、「こういう顧客が僕らのサービスを熱狂的に使うはずである」みたいなものに気づくのはすごい時間がかかっちゃってですね。結局それがないと、今のスタートアップの事業とかも全部市場がちっちゃく見えちゃうってのがやっぱあってですね。
なんかそういうのは結構あるかなと思いましたね。大手企業様でいうと、やっぱり顧客の解像度がすごく荒いっていうお客様が多いようなイメージがありますね。なので、スプレディを提供してたりもしますね。

木村氏:あれですよね、あの大手さんだとお客さんに聞きたいんだけど、お客さんのヒアリングもプロセス上難しいかもしれないみたいなお悩みもあったりしますかね。

佐古氏:そうなんです。通常のマーケティングだと定量調査とかですね。調査会社挟むっていうプロセスがあったりとかするんですけど、新規事業の顧客の高解像度を上げるってまたちょっと違うプロセスは本来たどらなくちゃいけなくて。
その会社様でもやったことある人がいないとかですね。もちろんセクションも存在しないんですけれども、顧客のヒアリングを新規事業はやんなきゃいけない状況でどうやるかっていうのは、苦労されてる会社が多いんじゃないかなとは思いますね。

本間氏:顧客市場感っていうところで、よくあるのが、そもそも選んだ市場が間違ってたとかってよく起こると思うんですけど、ある程度事前にわかるんじゃないかっていうのも往々にあると思うんですよね。木村さん、アンケートしたのか、それともお客さんと話してる中で、新規事業でもう典型的によくあるあるな失敗って何なんでしたっけ。

木村氏:もう典型的な失敗はやっぱり数字軽視が多いっていうのがあったりだとか、みたいなところですかね。だから僕のところにご相談に来るんだなっていうのもあるんですけどね。割とそこら辺が実際には多いかなっていう。

本間氏:結構市場規模の間で見方であったりとか、あとはある情報からどこのセグメントがどれぐらい市場性がありそうかって、シミュレーションできるじゃないですか。フェルミ推定とか使ったりとか、その辺って木村さんってどうされますか。

SOM

木村氏:おっしゃる通りでそもそもそこ(市場感の考え)が抜けている。数字に落としていないから、そもそもそこまで至っていないっていうケースもあったりして。
今度は逆にフェルミ推定的なやつのもっと前段のTAMしか出していない、具体的にはクラウド市場こんだけだよね、みたいな。自分たちの本当のお客さんの市場はどうなの?みたいなところはよくわかりませんで終わってるケースが多いですかね。

本間氏:ProfinanSSさんの提供してるVividirっていうツールでも、その辺の自分たちで事業モデルとかくんでみたときに、どういうやり方だと、どれぐらいの規模になりそうかとかって、シミュレーション簡単にできるじゃないですか。

木村氏:そうですね。ありがとうございます。

本間氏:もちろんExcelでもできるんですけども、例えば私が新規事業を検討するときっていろんな変数とかがあったりとか、市場のドライバーを選んだ市場規模であったり、特性とか、考慮して本当に何十通りも、収支シミュレーションとか、もう本当に動き始める前にやっちゃいますと。これをやることで、一番いいのが「成功できるかどうかはわかりません。ただ、絶対に失敗する方向に行くことだけを避けられる」ことで。
いちいちやってから検証する必要がないと思うんですね。これってモデルベースドエンジニアリングだと思っていて、ソフトウェアインザループとかハードウェアインザループとかあると思うんですけども、こうやって事前に仮想空間で、試行錯誤を繰り返すことで精度を高めていってっていう、実際現実の世界で失敗を多分避けてるんだと思うんですね。
そういったことってやっぱり経営の検討とか、新規事業の収支シミュレーションとかっていうとやっぱ当てはまるものなんです。

木村氏:おっしゃる通りでございまして、僕は別の例えをよくしてるんですけども、これ佐古さんもなんか何回か聞いていただいたと思うんすが、素振りですと、計画は。基本的にって事業実行って打席じゃないすか。打席に立ってくるってなるとそこでアウトかヒットみたいな、白黒ついちゃいますけどけど、その打席を1個1個大事にするためには、ちゃんと「こういうピッチャーこういう球投げてきますよね」っていうことを想像しながら素振りをするわけじゃないすか。
だから計画っていうのはもうまさしくその素振りに相当する、と。ただ事業計画数字の計画作るときってエクセルで終わっちゃうんですよね。Excel作ってなんかそれ自体が結構大変じゃないですか。だからもうなんかExcel作って満足しちゃうけど、それ実は素振りしてなくてバット作っただけですと。
例えばもうちょっとビジネスの話をするんであれば、こういう単価だったらこれぐらいのお客さん獲得できるかなとか、こういう単価感で売るんだったらこういう集客の施策があるかな、みたいなことを想像しながら、数字を組み立てていくわけですよね。それだけでかなり解像度が上がっていくので、そういう意味で言うと皆さんにはぜひ素振りをしていただきたいなと。僕らはそのためのバッド提供してるっていう感じですかね。

本間氏:やっぱ、私の中でExcel組んで、笑える失敗はバランスシートとか全部連動するようにExcelを組んだんだけど、なかなかバランスしないとか。Excelで組むとそういったことになっています。それはどうでもいいんですけど、いろんな変数で、さんざんシミュレーションした結果、元々みんなで思いついた「これめちゃくちゃいいじゃん」「絶対売れるよ」って言ってたのが、全然儲からないみたいなことに気づくとか、そういったこともできたっていうやっぱ過去があるんで、怪しい方向に行かなくてよかったなっていうのがつくづく思いますね。佐古さんもクライアントのご支援してる中でやっぱりそういうことはよくありますか?

佐古氏:そうですね。ありますね。はい。

木村氏:同じ髪型で恐縮なんですけど、実は孫正義さんとかは、あの1000回シミュレーションしろって言ってるみたいですよね。うちの創業時の株主でもね、ご支援くださってる人が安川さんってソフトバンクの社長室長やってた人なんすけど、なんか本当に孫さんはIRとかではワーッてやってますよと。ただ社内ではめちゃくちゃ数字にうるさいと。
もうシミュレーションを300回やってこいと。シミュレーションって何か300回って何か、とりあえず多くやってこいっていうことなのかなと思ってやっていたら、ちゃんと300回やったの?ってちゃんとチェックされるみたいで。それでも何か盛ってると思ってたら、いや実は僕もそうでしたみたいなことを、元ゴールドマンサックスの人からダイレクトメッセージを送ってこられたみたいなお話がありまして。
本当にそれぐらいちゃんとシミュレーションすることによって解像度を上げていったりだとか、なんかもう別にシミュレーションしなくても数字が頭の中入ってます、みたいなレベルになってくるんだろうなって感じですかね。

本間氏:あるあるですね。さて、10分ほどございますので今回、事前しても多分100個以上いただいてると思うんで、その一部にご回答させていただければと思います。木村さん何か印象深い質問とか、あの皆さんに示唆を与えられる質問があればですね、お願いします。

木村氏:何かあるかな。ライブの質問を先にお答えしといてもらっていいですか。

本間氏:ライブの質問はですね、「先ほど顧客Aがいるからやってみようというのが近い上司の考え方、顧客BCへのスケールをちゃんと考えないで進めるのはどうなのというのがその先の上司の考え方。報告はどちらも担当なので、板挟み状態になることがありまして、やはり組織として考え方の軸となるべきものは合わせるべきだと思うんですが、そこを決めようとするのに、考え方を狭めるからと避けられる傾向もあります。お三方の視点からこれだけは合わせないと駄目だよというものを挙げるとすると、どのような考え方が考えられますでしょうか?」回答させていただきましょうか?板挟みよくありますね。うん。

佐古氏:これはあれですかね、考え方の軸をこれだけ合わせとけっていうことですかね。

木村氏: そうですね。

佐古氏:はい。私はもうこれはあれですね、どれぐらいの事業を作るの?がその上の上司ですよね?新規事業における取り組みでなんぼぐらい作らなきゃいけないのかっていうのを最低擦り合わせましょうっていうのはまず最初にお話をするかなと思いましたね。
なのでその基準が高いと、やっぱりそのBCみたいなスケールっていうのも含めて、シナリオ作っておかないと認められなかったりするので、この新規事業の取り組みはなんぼぐらいのビジネスインパクトを与えればいいのかっていうのを最初にすり合わせますかね。

木村氏:そうですね。やっぱりどっちも考えないといけないのかなと。最近よくある話で、やっぱり顧客Aにめちゃくちゃぶっ刺さったけど、結局、そっから先進めなかったからうちの会社としては、もうこれできませんみたいな話になるんじゃないですか。そしたらなんか売ればいいのに(M&Aのこと)、なんかもう閉じるっていう選択肢をすることが多くて。
大手企業さんだと、お客様がちょっと悲しむことになったりで勿体ないことが多いなっていうのが正直ありますよね。だからやっぱりあの目先のお客さんを最初のターゲットとして、しっかり解像度を持ち、そのあとで隣のお客さんを攻略することによって、再現性や拡張性を検証できるのかと。その検証された後に次、同じような近しい課題を持ってる顧客BCにどう波及させていけるのか、そのまま使えるのか。それとも売り方を変えないといけないのか。
機能の話なのか、考えないといけないですよね。顧客Aに刺さったから、Bの人もあの見てくれるみたいのもあると、そういったストーリーをちゃんと描くっていうところが大事なのかなというふうには僕は思っております。

本間氏:そうですね。登り方って話とも関係してくると思うんですけど、そもそも顧客Aが欲しい欲しいって言ってるけど、顧客Aの隣にいる顧客BCみたいな人たちがいなさそうなんだったらちょっと考えた方がいいと思います。やっぱりスケールしてナンボだと思うんですよ。
お客さんの個別ニーズに対応していくと本当に個別カスタマイズ世界になっていって、顧客の課題に対しての仮説検証が進んだんだけど、あまりにも顧客Aへ特化したカスタマイズになっていて、顧客B、Cがめちゃくちゃ使いたくないプロダクトになるっていう可能性もあるんですね。
そうなっちゃうと、「いや、もう当初予算限られてるから、提供してできなかったことになっておしまいです」みたいな。そういうのがないように、しっかりと自分で考えておいた方がいいと思います。
そういう意味でいくと、顧客Aの話だけをするんじゃ意味ないし、顧客BCだけの話をするんじゃなくて、しっかり登り方っていう全体図を描いた上で、この2人の上司に、しっかり話してコンセンサスを取っていくっていうのは、おそらくできるんじゃないでしょうか。回答になってましたでしょうか?

本間氏:ただ最後にちょっと1つ、事前質問にお答えしましょうか。

木村氏:はい。いくつかあって今日ちゃんと触れてなかったなっていうのが「撤退」ですかね。実は少し話そうかなと思ったんですけど、撤退基準みたいなところをどうしたらいいのかみたいな話は失敗とはちょっと違っていて。
「どんな方法で撤退すればいいのか」みたいなところの質問が何個か出ていたし、ちなみに僕自身の回答としては、撤退基準ももちろん大事なんですけど、撤退までのマイルストーンというか、「何がいつまでに達成できていなかったら一旦撤退を検討するか」みたいなことを決めておいた方がいいんじゃないですか。っていうことを最近よくお伝えしております。何かこれ皆さん、何かそれぞれのお考えあればぜひっていうとこですかね。

佐古氏:はい、そうですね。まさにその通りだと思いますね。撤退のマイルストーン、例えばですけど、KPIドライバーが顧客獲得とかだったらそこの、何でしょうね、推移とか木村さんそんなイメージですよね?

木村氏:はい。おっしゃる通り

佐古氏:ですよね。このタイミングでここまでというものを作っておくとか、そういうものをちゃんと見ておきたいですね。

本間氏:うん、そう。

木村氏:ですよね。本間さんも同じ感じです?

本間氏:そうですね。例えば半年1年2年とかある程度期間を決めた上で、それまでにお客さんがしっかり増えて、トップラインも伸びていくサイクルに乗っているとか載ってないとか、いろいろあると思いますし、単純にその目標達成できたできないんじゃなくて目標達成できてないけど8割9割はいけてます。原因もわかってます。だったら別に撤退する必要はないと思うし、逆に検証しきって、もう伸びないっていうことがわかった。そしたらしっかり撤退するとかっていう意思決定ができるように、ある程度想定されるケースっていうのは事前にみんなで議論した上で、あのコンセンサスを持っていた方がいいかなと。いざうまくいかないってなったときに考え始めるといろいろドロドロしたものが出てくるので。
事前に想定しておくってのは非常に大事だと思うし、どうしても犯人捜しみたいになっちゃうんですけど、基準を決めておくと、健全な議論ができたりするので、そういったことが大事かなと。最後ちょっと次のスライドお願いします。
はい。というわけでちょっとだけ宣伝をさせていただければと思います。

各社の事業のご紹介

スプレディ

佐古氏:スプレディは新規事業のユーザーヒアリング等の人的ネットワーク獲得で使っていただくスプレディというサービスをやってる会社で、顧客は大手企業様の新規事業開発チームの皆さんが多いです。3年間で2000件の新規事業で使っていただいてますので、もしお力添えできることがありましたら、というのがまず一つ。またこの前ですね、新規事業の調査実態レポートっていうのを私達の方から出していて、例えば新規事業開発においてビジネスアイディアの発想に、課題を抱えている方の比率が86%とかですね、結構面白いデータが出てきましたのでこちらのレポート、ぜひご興味ある方いましたらアンケートで回答いただけましたらと思っております。

ライズ説明資料

本間氏:ライズコンサルティンググループでがSaaSのプロダクトをやってるわけじゃないので、かっこいいビジュアルはないんですけども、新規事業の立ち上げをハンズオン支援という形でやってます。どういったメンバーがやってるかっていうと、私も含めてですね、スタートアップ・大企業・コンサルティングファームとかどれも経験してきて、あのどういった力学で意思決定が行われているとかっていうのもしっかりわかっている人間が多いです。新規事業をやるときはスピードが極めて大事なので、これから学ぶではなくて既にできる人、やったことある人を活用することで、スピードと成功確率を飛躍的に上げていくっていうことが可能になってて、こういったことをですね、うまくご利用いただければと思います。無料でご相談、受け付けておりますのでぜひご連絡いただければと思います。

Vividir

木村氏:最後はProfinanSSからです。数字が簡単に作れるってやつですね。事業性を簡単に設計しましょうというところでVividirをご提供してますのでぜひお声ください。Vividirの作り方自体はですね、こういう研修、それこそまさしく本間さんとかと佐古さんもちょっと巻き込もうと思うんですけど、なんかブートキャンプ形式で一気に解像度を上げるとかみたいなところも実は今サービスとしてご提供してるんでよかったらお問い合わせください。最後は本間さんに締めていただいて、ですかね。

本間氏:はい。チャットとかでお願いもさせていただいておりますが、本ウェビナーですね。アンケートにお答えいただけると非常に助かります。運営上、これから改善していくポイントとかも発見させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。こちらアンケートの回答リンク、またメールでもお送りさせていただきますので、この後回答していただけると非常に嬉しいです。ご回答者には、今回のウェビナーの質問への回答集やセミナー資料ですね、プレゼントさせていただきますので、ぜひご回答いただければと思います。というわけで一時間ちょっと過ぎてしまいましたが、このお昼時にですね、100名近くお集まりいただき、大変ありがとうございました。それではまた皆さん、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

木村氏:ありがとうございました。

佐古氏:ありがとうございました。

井上 滉也

プロフィナンスCOO ex-Bizreachプロダクト責任者,Livesense。プロダクトマネジメント・データ分析・事業管理の話が大好物です。好きな食べ物は鶏のタタキと小エビのカクテルサラダ。93年生まれ。

短いサイクルを高頻度で回して成長する様子
短いスパンで非連続な企業成長を遂げるモダンな組織のためのインフラ