前回、予実管理におけるDXの重要性についてお話しました。
前回記事:
【DX×予実管理 1/4】なぜ今、予実管理にDXが必要なのか?
今回は、予実管理をDXする鍵「データパイプライン」の概要についてお話します。
データパイプラインを効果的に活用すれば、予実管理の精度と効率が劇的に上がります。
データパイプラインとは?
データパイプラインとは、「会社が様々なデータ源から必要な情報を集める仕組み」です。
集めたデータを統一の形に整え、分析できるように保管・管理します。
この流れがあるからこそ、経営陣はリアルタイムで正確なデータに基づき判断できます。
まず、具体的なデータパイプラインのメリットをご紹介します。
データパイプラインのメリット
データの質が向上する: バラバラだったデータが統一され、より正確になります。
「今」のデータを活用できる: リアルタイムでデータを集め、すぐに処理できるので、常に最新情報での予実管理が可能になります。 データパイプラインの構築は、素早い経営判断が求められる今、非常に有効な手です。
データ管理を効率化できる: 大量のデータを効率よく管理する仕組みができます。 データ抽出や分析にかかる時間とコストを大幅削減し、社員は、もっと価値の高い仕事に集中できます。
作業を自動化しミスを削減: データ収集や加工、配信が自動になるので、手作業の負担が減り、ヒューマンエラーの削減にも寄与します。 レポート作成やアラート設定も自動化され、業務が効率化されます。
これらのメリットを最大限に活かすには、適切な設計と運用が不可欠です。 次のセクションで、データパイプラインの構成要素を見ていきましょう。
データパイプラインの動き
データパイプラインを構成する主要な動きを詳しく説明します。
1. データソース:情報の「源泉」を集める
データパイプラインの出発点は、データの元となるシステムやデータベースです
以下のようなデータソースから、情報を集めます。
ERPシステム: 会社の基幹システムです。財務や在庫、受発注データを提供します。
CRMシステム: 顧客管理システムです。顧客情報や営業データを提供します。
POSシステム: 小売店のレジシステムです。日々の売上データを提供します。
外部データ: 市場データやSNS情報など、外部から取り込むデータです。
2. データ収集:必要な情報を「取り出す」
データソースから情報を引き出すプロセスで、データの集め方には色々あります。
API連携: システム同士が自動でデータをやり取りする仕組みです。
データベースクエリ: SQLなどを使ってデータベースから必要な情報を抽出します。
ファイルインポート: CSVやExcelファイルからデータを取り込む方法です。
3. データ変換:データを「使える形に整える」
集めたデータを、標準化されたフォーマットで分析できるように整えるステップです。 この作業には、こんな内容が含まれます。
データクレンジング データの誤りや不整合を直し品質を上げます。
データ正規化: データを同じフォーマットに変換し統一させます。
データ集計: 必要に応じてデータをまとめ分析しやすい形にします。
4. データストレージ:整えたデータを「保管する」
変換されたデータを、データストレージに保存します。
保管方法にはいくつか選択肢があります。
データウェアハウス: 大量のデータを効率的に保存し、高速で分析できるデータベースです。
データレイク: 構造化されていないデータも含め、どんなデータでも保存できる場所です。
クラウドストレージ: AWSやGoogle Cloud、Azureなどのクラウドサービスを利用した保管場所です。
5. データ配信:情報を「届ける」
保存されたデータを、使う人に届けるプロセスです。
情報配信には以下の方法があります。
ダッシュボード: データをグラフなどで視覚的に表示します。 経営陣や担当者が、状況を一目で把握できます。
レポート: 定期的に自動で作られる報告書です。 経営会議や意思決定に使われます。
自動アラート: 異常な数値が出たり、特定の条件が満たされたりすると自動で通知します。
これらの“動き”を適切に組み合わせることで、効果的なデータパイプラインが作れます。 予実管理の精度と効率を大きく向上させられるでしょう。
次の記事では、「具体的なデータパイプラインのつなぎこみ方」についてお伝えします。

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。