木村: 今回CFO Nghit3回目ということで、初の上場企業のCFOかつ社長兼CFOという、もうそれだけでなんかお腹いっぱいになるのですけども(笑)、自分は今自分で会社やってますけども、社長という立場みたいなところも含めてそういうキャリアもあるんだよなというところで、今日いろいろお話を聞かせていただければと思いまして改めてよろしくお願いします。 柴田さんまず、視聴者の皆様に自己紹介をよろしくお願い致します。
柴田: よろしくお願いします。簡単に私柴田のキャリアの解説をさせていただければと思います。 私元々公認会計士のキャリアでずっとやってきてまして、木村さんと同じ時期にトーマツにもいたんですけれども、ずっとIPO系の経歴をやっておりました。約10年間ほどトーマツに所属してまして、間で野村証券さんに出向に行き、引き受け審査、つまりIPOする会社の審査をしてるんですよね。IPO前にいろいろと証券会社なり東証なりのチェックを受けるんですけど、そのチェックする立場ってのをやらせていただいてした。 その後トーマツに戻りまして、IPOプロジェクトをかなりやってたんですけれども、一番大きかったプロジェクトとしてはリクルートさんです。2014年にIPOされているんですけど、そこのプロジェクトにかなりコミットさせていただいてまして、その頃は昼間の時間の9割ぐらいはリクルートさん、夜には通常の監査作業をやってるっていう中に、二重生活みたいなことを2年ぐらいやってまして、その後すごく運のいいことに担当クライアントが次々IPOを果たしまして、ちょうどひと区切りしたところで今の会社にジョインをしたというのが2015年。 ですので約6年前に、今のトーマツから今のエアトリにジョインしています。
木村: すごいなんか、面白いキャリアっていうとあれですけど、IPOを中心に、どの立場もやりましたみたいな感じですよね。
柴田: そうですね、監査法人、証券会社、事業会社は珍しいかもしれないですね。
木村: そういう方って珍しいかな。監査法人として関わりました、もしくは証券会社として関わりました、とかどっかの一側面で関われるっていうことは他もありうるかなと思うんすけども、結構全部の立場をご経験されたというのはすごい珍しいなと思ってお伺いしました。 今はエアトリさんということで、上場企業でもありますので皆さんご存知かもしれませんけれども、ぜひエアトリさんの事業についてもご紹介いただければと思います。
柴田: わかりました。エアトリはメインは旅行事業をやってまして、これはロバート秋山様を起用させていただいて、オンラインでの旅行サイトやってます。インターネット上では航空券を一番多く売っている会社ではあります。これをメインにしてまして、コロナ前では約1500億の取り扱いがあり、一番成長してきたなと思っています。 それに加えて旅行事業に続く事業っていうのをやってまして、これが5つほど事業がございまして、順番に簡単に申し上げますと、インバウンド事業、それからシステム開発ですね、それから投資事業。それからライフイノベーションっていうんですけども、例えばまぐまぐって子会社化がそうですね。あともう一つ去年立ち上げた事業としてヘルスケアの事業をやっておりまして、わかりやすく言うとPCR検査、抗体検査抗原検査をやらせていただいています。
木村: そうですか、そこまで広げておられてというところですかね。 特にやっぱり旅行ってこの後お話にもあるかもしれないですが、メイン事業である旅行ってやっぱり昨年非常に影響があった..?
柴田: そうですね、まさにコロナ直撃という感じ。
木村: そうですね。なのでそういう意味で言うとそれをいかに何とか機会にできないかとかそういうところでこういう事業領域も多く検討されたみたいなところですかね?
柴田: そうですね。元々かなり0→1で色々な事業にチャレンジするっていうカルチャーが創業以来ありまして、加えて上場後は特にM&Aとかかなり積極的にやってるって特徴がありますね。約100件、いわゆる投資をやってきてるっていう感じですね。
木村: すごいですね。100件ってどれくらいのスパンでやられてますか?
柴田: 上場後今5年強なのでそれぐらいですね。
木村: 単純計算ですけど、5年で100件、年間20件。僕自身も昔上場会社のM&Aチームにいたので、結構ヒーヒー言いながらやってたんですけど、どれぐらいのチームでやってるんですか?
柴田: チームはですね、役員陣が結構コミットしてやっている部分があるんですけど、いわゆるその専属チームはないんですよね。今バックオフィスチームにいる会計士が数名と、若手の生え抜きのメンバーが三、四名ぐらいでやってるという感じですね。
木村: すごいですね、結構タフな感じですね。私自身も結構ヒーヒー言いながらやってたなあと思って。大体2案件くらい同時並行でやってたなみたいな。
柴田: そうですね、多分木村さんみたいな専門家の方に結構迷惑かけてる会社だと思います。結構タイトなスケジュールで無茶なお願いをするっていう感じので。
木村: なるほど。逆に僕も事業会社にいた時は無茶を言ってた方なので、あんまり僕も言えないなと思いながら(笑) では今のお話も進めつつなんですけども、ちょっと対談の中身に入っていこうと思います。 本日は、CFOのキャリアについてと、CFOって実際何やってらっしゃるんですかっていう業務の話を聞くんですけど、本日は社長兼CFOとして、どういうふうに、どういう業務があって、どういう取り組みをされてるのかなみたいなところも、差し支えある範囲でお伺いするかもしれませんし(笑)というところでお伺いできればと思います。 さっきもちょっと折にありましたけども、コロナ禍でのハードシングスと言いますか、CFOの文脈とは少し違うかもしれませんけど、どちらかというとこの影響があったというのはもちろん、ファクトとしてはもう外から見てもわかるところなんですけど、それを社長としてそしてCFOとしてどういう舵取りをされたのかなみたいなところにフォーカスを置いてお話をお伺いできればと思います。 全体閉めた後に、今回視聴者の方の中にCFOを目指されてる方もいらっしゃると思うので、何か柴田さんからメッセージ一言いただければと思います。 まず一番最初、CFOのキャリアについてなんですけど、さっき少し触れましたがもうバリバリ監査法人でもやってたし、証券会社でもやってたしみたいな、バリバリIPOまみれのキャリアでいらっしゃるというところだったんですけど、元々そういうようなことをやりたいっていうことで、割とトーマツってやりたいことをやらせてくれる雰囲気もちょっとあるじゃないですか。そういうのがあるのかなと思って、そこら辺いかがでした?
柴田: ちょっとさっきだいぶ端折っちゃったんですけど、トーマツの10年間やったうちの、IPO系は後半の5年ぐらいでして、前半の方はいわゆるトータルサービスっていう部署があるんですけど、そこに所属をしてまして、コンセプトとしてはビジネスアドバイザーというコンセプトの部署なんですけど、いろんなクライアントさんの課題解決していくっていうコンセプトの部署でして、監査業務に加えてそれを各社アドバイザリー業務っていうのやってたっていうのが若いときなので、結構クライアントさんに飛び込んで、もうぐちゃぐちゃな状態のところを何とかしていくというプロジェクトによく入っていたという感じですね。
木村: トータルサポートグループって、割と僕もコンサルの方だったので少し接点はあったのですが、割と上場企業さんというよりかはやっぱりスタートアップみたいな中小企業が多かったですよね?
柴田: そうですね、上場を目指す会社さんとか上場したての会社さんとかが多くて、一番僕が所属した部署で有名になったクライアントはソフトバンクさんで、本当に黎明期からやってたっていう所ですね。
木村: なるほど。だからIPOを支援する前からそのIPOを準備してるようで、カオスな会社さんの支援をされてるんですね。
柴田: そうですね。IPOって文脈というよりは、もう管理体制の支援みたいなことを中心としていろんなことをやらせていただいてましたね。 財務諸表のキャッシュフローはどうやって作るんですかとか、増減明細どうやって作りましょうかとか、そういう結構地道なことから、それこそ今専門にられている事業計画をどう作りましょうとか、予実をしましょうかとか、そういうのをやってましたね。 木村: なるほど、やっぱりそうですね。今はどうやらなくなってしまったようですね。デロイトの監査法人トーマツ出身の方でスタートアップとかで活躍されてる方って割とTS(トータルサポート)の出身の方が多いなという印象があって、まさしくそういうところをやっておられたからなんだろうなというところですね。
柴田: そうかもしれないですね。
木村: そこから5年やって、その後IPOにどっぷりはまり始めてっていうのは何かきっかけはあったのですか?
柴田: 野村証券さんの出向話をいただいたっていうことがきっかけでして、当時新しい仕事というか、いろんな新しいキャリアを考えて、パートナーの方とかに相談をよくしてたんですけど、その中で、これ面白い話なんだけどって声かけていただいんですね。
木村: 結構コンサルの方はちょいちょいクライアントに出向することもありましたが、トーマツもあったんだと思って。元々あったんですか?それともこれがスタート的な感じですか?
柴田: いわゆる野村証券さんへの出向はいくつか部署があったんですけど、私がいた審査部としては初めてです。
木村: そこがある意味、IPO支援みたいなところにどっぷり入るきっかけになったわけですね。それは2年間本当に証券会社のお立場で支援されたというところですか?
柴田: そうですね。
木村: 証券会社の立場でIPO支援って具体的にどういうことをやられるんですか?
柴田: いわゆる引き受けと引き受け審査の二つあるんですけど、私は審査部の方にいまして、いわゆるITOのプロマネですかね、クライアントさんに寄り添いIPOの道筋と課題を整理し伴走してやっていくんですけど、私がいた審査部というのは、その最終タイミングでその引き受けの方と作り上げてきたものが上場企業としてのいろんな規則とか体制整備とかができてるかっていうのを見させていただくっていう立場です。結構厳しいことを言わなければいけない立場ですかね。本当、悪い言葉で試験官みたいなことをしなくちゃいけない。担当する会社さんに1,000問位質問書を送り、回答が返ってきて、それについて何時間にわたって質疑応答してみたいなことやってます。
木村: やはりそこら辺は心苦しいけれどもやらざるを得ないというところですね。。 柴田: はい、結構トーマツ時代の癖が抜けなかったので、私はどっちかというと解決したい立ち位置だったことが多くて、解決するのは君の仕事じゃないんだってよく上司に怒られてましたね。
木村: 優しくしすぎて、ですか。もっと厳しく審査の立場でやれと。お人柄が出てくるところですよね、なるほどです。 それでまたトーマツに戻られて、またトーマツの中でもIPOもご支援をされていうことですか。
柴田: そうですねトーマツは戻ったらやっぱり専門的なことをいかせる業務っていうところで、色んなことをやらせていただきました。
木村: やはりカテゴリーは一緒だけれども、審査の立場なのか、監査法人からの立場なのかで、取り組み方とかスタンスはやはりちょっと変わりましたか?
柴田: そうですね監査法人の中でも、いわゆる監査業務としてのIPOもやりましたし、リクルートさんなんかは本当にクライアントさんに入り込んで、クライアントの立場でやるっていうことも結構させていただいて。
木村: 正しくもう一緒にIPO準備をするみたいな。
柴田: その時はトーマツコンサルの方とも結構一緒に話して。
木村: そこからいきなり飛んじゃいますけども、エアトリさんの話が出てくるじゃないですかね。エアトリさんはその当時まさしく上場を目指していらっしゃったのかなみたいなところですけど、ちょうど2016年ですね。その間近で入社されたということは、もうまさしくここ最後柴田さんよろしく!みたいな感じで入られたというとこなんすかね。
柴田: そうですね、実は出会いというのが私がトーマツの立場で営業に行って、エアトリが監査法人をちょっとその当時悩んでるタイミングだったんですね。実は当時のよしむら社長が大学の同級生で、そこで久しぶりに再会しまして、あれこれやっている間に、当時CFOが不在だったんですけど、一緒にやってみないかって話いただいたって感じです。逆営業されたって感じですね(笑)
木村: よくある話ですよね。僕もよくやるんですけども、営業されたら営業し返すみたいな(笑) それでやっぱり言われた瞬間どう思われたのですか、やってみたいなという感じですか?
柴田: そうなんですよね、僕振り返ってみれば大事な意思決定って直感で決めるタイプで、言われた瞬間にやってみたいなってちょっと思いましたね。
木村: やっぱり今までね、アドバイスというか、審査側とかサポート側で関わることが多かったけど、本当に自分が主体としてやるっていうことを、そこはある種の集大成みたいなところもあって、やっぱりいいなと思われたんですかね。
柴田: そうですね本当タイミングも大きかったんですけど、リクルートさん含めて担当クライアントが次々上場していったタイミングで、例えばシフトさんとリクルートさんが1ヶ月が上場したりという中で声かけてもらったので、タイミングが良かったですね。
木村: 素晴らしいタイミングですね。エアトリさんの上場を主体的に請け負ってっていうところで、アドバイザーとしてとか審査の立場を経験された中で、何かやっぱ自分でやるのは違うなみたいなのってありました?
柴田: 違いますね。やっぱりやりきらなきゃいけないみたいな、その責任感とか主体性みたいなところは大分違ったかなというのはあります。
木村: やっぱりもう自分がCFOとしてやらんと何も動かないみたいな、そこら辺の。
柴田: そうですね。だから実際上場したときは何か達成感ということよりも、安心感みたいな感じでした。入社するときに期待してもらっていたことをやっと返せた、という。
木村: 本当の求められる成果を出すには、やっぱ上場するっていうのが一つの成果ですもんね、結構息の長い時間ですね。
柴田: はい。だからその間は本当に誰とも会わなかったかもしれません。結構ストイックになってまして。
木村: 入社されてから上場まで1年ぐらいですが、実際の上場準備は結構その前からやられてたのかなと思いますけど、特に柴田さんから見て、ここが足りないなみたいなここを重点的にやったみたいなお話はありますか?
柴田: コンサルをやらせてもらった期間も含めて1年半強ぐらいかかってるんですけど、一番は、実は監査法人変えてるんですよ。いわゆる超遡及監査っていうんですけど、直前期に入ってから、直前前期の期初までさかのぼってもらうっていうことで、つまり2期遡ったみたいなやつで、今の監査法人さんに引き受けてもらってまして、そこはもう壮絶そうですな感じでした。だから、まとめて3期分監査受けるような感じなんですけど(笑)
木村: やる方も大変ですけど、対応する会社側もやはり相当大変ですよね。
柴田: そうですね。そこが一番最初のハードルで、トーマツからは結局延期っていうふうな話だったので、ちょっと納得できなくて、他の法人さんと話をしてっていう感じだったんですけど。
木村: そこでやっぱり上場の目標期日は変えずに伴走してくださる監査法人にお願いしたのですね。本当に大変そうですね!
柴田: 大変でしたね、毎日徹夜したのを覚えています。
木村: そのときの経理チームってそんなに多くはないんですね。まだ上場前後ぐらいのスタートアップって割と管理部門は必要最小限にしてたりするじゃないすか。だからそこでやらないといけないってのは結構もっと大変ですよね。
柴田: なので一時期、トーマツの元後輩などに手伝ってほしいと連絡して、助けてくれる人を募集したりとかしてましたね。
木村: たしかにエアトリさんの上場のサポートを外部でしたみたいなお話を聞くので、多分逆にそれはそれでその方々にとっては勉強になったみたいな感じになってますよね。 エアトリさんを上場させてからずっとCFOとしてご活躍されてると思うんですけども、上場してから何か変わりましたか?
柴田: もう全てが変わりました。一言で言うと会社のスピード感が変わったかもしれないですね。一気に2倍3倍になった感じです。上場前は基本的に上場準備が優先なので、止めてたっていうのもありますし、上場したことによって得られるメリットとして、資金調達もそうですし、社会的信用みたいなのもそうですし、M&Aとかそういう投資みたいな選択肢もそうです。そういうのを考えるとやっぱりスピードが2倍3倍になったっていう感じだと思います。
木村: やれることの幅が増えたっていうことなんですかね。
柴田: そうですね。マザーズ上場1年後に東証一部に市場変更してるんですけど、その間、証券会社の方に会社のスピード3分の1ぐらいにしてくださいって怒られたことがあります。ちょっと落ち着いてくれと(笑)
木村: すごいですね。今おっしゃられた中で言うと、当時CFOとしての立場での関わり方で、資金調達やM&Aは柴田さんが主導してやっておられたのですかね?
柴田: そうですね、ソーシングは役員陣皆さんやってるんですけど、エグゼキューションのところとか管理体制構築みたいなところは私メインでやってましたね。
木村: 事業部の方々がそれぞれの事業領域で、こういう会社とのシナジーがあるよねというところで持ってきて、それを財務メンバーやCFOの柴田さんが、バリエーションちゃんとしましょうとか、財務DDなりリーガルDDなどのコントロールとか、それを契約書に落とすみたいな話を、柴田さんのチームでやっておられたというとこですかね。
柴田: そうですね!美しくまとめていただいてありがたいです。
木村: CFOはやっぱり経営企画的な要素もあって、私も経営企画だったのでそういうこともやってたなと。ちょちょい無理難題もあるんですけど、「無理難題だから無理です」っていうのは簡単で、無理なんだけど仕上げるみたいな。そういうことを柴田さんもやっておられたのだと思います。
柴田: そうですね。基本できませんと言わないっていうポリシーはありました。
木村: よっぽどこれは、、というのは中にはあって、それは駄目ですよ、と話したことは僕もあるんですけど、基本的にはリーガルとか反社とかの変なリスクがない限りは何とか頑張るかみたいな感じですもんね。 特にIPOもやられてたから、買収の管理体制やら、未上場の会社とか買収したら一応子会社になるんだけど、子会社のガバナンスが結構大変だったりするのかな、と思うのですが。
柴田: めちゃくちゃ大変ですね。IPOのご支援のノウハウをうまく活用できたのもありますし、あとは仲間に恵まれたというか、さっき仰ったトーマツの仲間が次々に手伝ってくれまして、一時期会計士だらけになってましたね。
木村: なるほど、外部の会計士の方に協力を仰いで、ここのPMIよろしくお願い!というような。エアトリさんってM&Aというか、スタートアップへの投資も含めてすごい活発にやられてるイメージがあって、そこが成長戦略の一つとして置かれているのですかね?
柴田: そうですね、もう明確にそこは成長戦略の一つとして重視してやってます。
木村: もちろん、自社内でオーガニックに新しい事業を創出するみたいなこともやってらっしゃる?
柴田: そうですね。同時並行的にやってるって感じですかね。
木村: 同時並行がすごいですよね、なかなかできない。ここがオーガニックの成長でやるとか、ここはM&Aで成長させましょうみたいなところで何か分けてたりするんですか?それともそこら辺は、案件ベースで考えておられるんですか。
柴田: あまりそこの区別はないんですけども、よく言うのは、参入するポイントとしては一見ニッチだと思われる市場で今後成長するであろう市場に参入してナンバー1を取りに行く、とにかく頑張ったみたいな感じの部分っていうところ。それと、エアトリとしてはテクノロジーとマーケットが強いっていう性質なので、この強味を活かせる領域であること。この二つぐらいは大事にしている感じですかね。0→1であろうとM&Aであろうとそんなにこだわりはないです。
木村: そこら辺は、上場してからその役員の皆様とこうゆうスタンスでいこうねみたいなところを議論して決めているみたいなところなんですかね。
柴田: そうですね、創業者2人とコアの幹部陣で話をしてるって感じですね。
木村: 時系列ですと、柴田さんは2019年に代表取締役になられて、さらに2020年に社長兼CFOになられて、代表取締役兼CFOは割とあるなと思うのですが、社長兼CFはまだそんなに多くはないなという中で、何か明確なミッションみたいなものはあったのですか?
柴田: ミッションと言うとなかなか難しいんですけど、基本的にはもう経営陣の中で役割分担を変更という形でして、その上場後グループがどんどん大きくなるに連れて、意思決定事項がすごく増えていく中で、当時吉村が代表で、会長の大石の3人だったんですけど、共同代表って形にした方がより成長スピードがあるよねっていう話って、2019年に共同代表になったんですね。そこから私が社長になり、社長業務って基本的に対外的な社長業務と、社内的な社長業務があると思うんですけど、社内的に大きく変わったというよりは、役員陣中のちょっとの分担変更っていう感じですけど、対外的には明確に社長ってことなんで、いろんなメディア対応ですとか、あと投資家対応とか色々やってくっていう感でした。
木村: なるほど。元々CFOをやられてたからこそ、投資家対応もその当時からやっておられたと思うんですけども、改めて社長っていうお立場を加えることによって、もう本当に先陣切って投資家の方の対応をやるっていう明確なスタンスの表明みたいなところもあるんですね。
柴田: そうですね。やっぱり投資家さんとか金融機関さんとかと話しやすくなったというか、受け止めてくれ方がちょっと違うのかなっていうのは感じますね。 株主さんに関しても、社長が思い描くこの先のエアトリってどうなんですかって聞かれた時に、僕がパッと答えると、株主さんはそうか。となる。それまではやはり、芝田さんじゃなくて社長に会わせてくださいみたいな話もありましたが。そこがやっぱり一足飛びに行けるって感じはありましたね。同じことを喋ってても全然やっぱり受け取られ方が違うっていう。
木村: なるほど、明確にご自身の言葉がそのまま伝えられるっていうところですね。名実ともに会社のトップとして投資家に会えたりする。上場後のCFOの仕事って、管理業務はもちろんかもしれないですけど、割と投資家の皆さんに対して、会社としてどういう方向に進んでいくから、言い方はあれですけど、会社としては割安ですよという話をしていかなきゃいけないわけですよね。 よく言うんですけど、IRってどっちかというとマーケティングというか営業チックなところもあると思うので、
柴田: そうですね、会社の期待値をどれだけ醸成できるかなので、その観点での営業ですね。
木村: 社長とCFOの業務で、本来だったら分けているだろうなみたいなところありますか?私の場合起業してから若干、CFOで考えるべき目線と社長で考えるべき目線というのがあって、これを両方自分でやってるとたまに精神分裂をするんじゃないかと思うんですけど(笑)そこら辺柴田さんはどういうふうにされてるんですか?
柴田: どうなんですかね。いわゆる鳥の目、虫の目みたいな話かなと。経営者として会社全体を見るっていうこともあれば、そのうちの1セクションに関しては自分が責任者なのでより深く責任者として現場に入ってくっていう感じなので、濃度の違いなのかなという整理を自分の中でしてますね。
木村: なるほど。ちょっと僕もそういうふうにして精神分裂を防ぎたい。
柴田: 攻めと守りで、攻めが社長でCFOが守るとかっていう人もいますけど、多分本質的に言うとそこまで違わないのかなと。
木村: 2020年に社長になられてその後すぐコロナでしたよね。社長として、もしくはCFOとして、つらかった経験は何ですか?どういうスタンスでお臨みになられたのかなと思ってお伺いできればと思ったんですけども。
柴田: 一言で言うと、眠れなくなったという感じですね(笑)1月に社長になって、1月後半にコロナが来たので、本当にいきなり非常事態に見舞われたみたいな感じですね。
木村: 飛行機はもう国内外制約されましたし、御社はダイレクトに来ますよね。
柴田: 去年の4月5月とか、売り上げがもうコロナ前の1、2パーまでいきなり落ちたので、もうそれは想像を絶する感じになりましたね。。
木村: CFOとしてやるべきことってやはり、どうキャッシュを確保するかみたいなところだと思いますけども、言える範囲で結構なんですけども、上場企業の社長さんですからいろいろございますでしょう。まずそこら辺のキャッシュの確保みたいなところで動かれた感じですか。
柴田: そうですね当時3月4月5月は、やはりグループのコスト構造の見直しから始まって、やっぱり対金融機関がメインミッションでやってましたね。すごく記憶にあるんですけど、去年の5月27日、銀行団を全部集めさせていただいて、銀行向け説明会っていうのをやりまして。お付き合いしてる銀行さんは30行ぐらいで多いんですけど、集まっていただいて、我々こういうふうに再建するので支援お願いしますという形でやりました。 それはすごく記憶に新しいというか、その時の話はこういうプランニングでこうなので、9月までにはしっかり元気な姿をお見せできるのでお待ちくださいという感じで伝えました。
木村: なるほどですね。銀行の方も、柴田さんものご説明に、こういう状況だし助けます、というような感じでご支援いただいたのですかね?
柴田: 実際は結構銀行さんによってまちまちでしたね。
木村: もちろん30行もあればそれはまちまちですよね!
柴田: ただ、メインバンクのみずほ銀行さんなんですけど、すごく支援・サポートいただいて、やっぱりメインバンクってすごいんだなと思いました。
木村: 逆にその時投資家さんからは何かありました?
柴田: 投資家さんからは、励ましの言葉を結構いただきました。きっと戻るから、エアトリが勝てるから、みたいなこと言ってくれましたし、個人投資家の皆さんも応援っていうスタンスで励まされましたね。 コロナ禍のこの当時のことは、話し出すと本当にもう何時間もかかりますね(笑)
木村: そうですよね、また別途ぜひお聞きしたいです。 次回、またよろしくお願いいたします。
プロフィナンスCOO ex-Bizreachプロダクト責任者,Livesense。プロダクトマネジメント・データ分析・事業管理の話が大好物です。好きな食べ物は鶏のタタキと小エビのカクテルサラダ。93年生まれ。