0. はじめに:KPIって聞くけど、どう設計すればいい?
「KPIを設定したのに、現場が動かない」──そんな経験はありませんか?
目標があっても、“やり切れる形”にまで落とし込まれていなければ、進捗も見えず、モチベーションも続きません。
ここで重要になるのが「KPIツリー」という考え方です。
これは、売上や利益といった最終目標(KGI)を達成するために、「どんな行動が必要か」を逆算して設計していく仕組みです。
1. なぜKPIツリーが必要なのか?
KGI(最終目標)だけでは、現場の動きは変わりません。
たとえば「今期の売上1億円達成!」というKGIがあっても、それをどう実現するかが分からなければ、現場は動けません。
また、それでも動いて失敗したときに、結局何をどこで間違えていたのか分析もできません。
そこで、KGIをKPI(行動指標)に分解し、「どのチームが、どのアクションを、どの水準で行えばよいか」を構造的に整理します。
2. KPIツリーの設計手順:3つのステップ
ステップ1:KGI(最終目標)を明確にする
まずは経営目標や事業の最終成果を定めます(例:売上、粗利、契約数など)。
ステップ2:KPIを逆算して分解する
KGIを達成するために必要なKPIを階層的に設計します。
例:
- 売上 = 顧客数 × 顧客単価
- 顧客数 = 商談数 × 成約率
- 商談数 = リード数 × 商談化率
このように、売上というKGIに対して、日々の行動がどう結びつくかを見える化します。
ステップ3:担当チームや個人に割り当てる
ツリーの末端にあるKPI(リード獲得数、電話アポ件数など)を、具体的に誰が担当するのかを明確にします。
3. よくある落とし穴と注意点
行動と数値の因果が曖昧なまま設計してしまう
→ 実際に動いても効果が出ないKPIになってしまう。計測できない指標を入れてしまう
→ 進捗確認ができず、PDCAが回らない。現場の声を反映せずにトップダウンで決めてしまう
→ 現場が“やらされ感”を持ち、形骸化する。
4. KPIツリーは「会話のための設計図」
KPIツリーの最大の役割は、“管理”ではなく“会話”です。
「なぜこのKPIが必要なのか?」
「これを改善すれば、目標にどう近づけるのか?」
チーム全員がこの構造を理解し、共通言語として持つことが、実行力のある組織をつくる第一歩です。
次の記事では、ROICツリーとKPIツリーを接続する「ROICツリー×KPIツリーモデル」について詳しく解説します。

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。