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【DX×予実管理3/4】データパイプライン構築ステップ──現場で使える設計の勘所
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【DX×予実管理3/4】データパイプライン構築ステップ──現場で使える設計の勘所

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以前、こちらの記事をご紹介しました。

前回記事:

【DX×予実管理 1/4】なぜ今、予実管理にDXが必要なのか? 【DX×予実管理2/4】 データパイプラインとは何か

効果的なデータパイプラインを設計・構築することは、予実管理の成功に不可欠です。

この記事では、データパイプラインを実際に作るためのステップについて詳しく説明します。

データパイプラインの構築ステップ

1. 要件定義

まず、何のためにデータパイプラインを作るのか、「目的」と「必要な情報」を明確にすることから始めます。

収集するデータの種類と頻度

予実管理に必要な売上データ、コストデータ、在庫データなどを具体的に洗い出します。それぞれのデータが、どれくらいの頻度(日次、週次、月次など)で必要か明確にしましょう。

データの品質管理をどうするか

データの品質は予実管理の精度に直結します。データが正確で一貫性があることを確認するため、データクレンジングやバリデーション(検証)のプロセスを設計に含めます。データの整合性を保つためのルールやチェックポイントを設定してください。

2. ツールと技術の選定

データパイプラインを構築するには、目的に合った適切なツールを選ぶことが重要です。

ETLツールを選ぶ データの抽出(Extract)、変換(Transform)、格納(Load)のプロセスを自動化し、効率的に行うためのツールです。Talend、Informatica、Apache NiFiなどが主な選択肢となります。

クラウドプラットフォームを検討する クラウドを活用することで、データの柔軟性(スケーラビリティ)と安定性(可用性)を向上させられます。AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドサービスは、データの保存と処理を効率的に行うための強力なインフラを提供しています。

3. データ統合

複数のデータソースから収集されたデータを、一貫性のある形で統合することが非常に重要です。

異なるデータソースからのデータ統合

例えば、営業データと生産データを結びつけるなど、様々な場所から集めたデータを一つにまとめます。

データソースが異なっていても、統一された形式でデータを統合することで、分析しやすくなるでしょう。 データの「マッピング(どのデータが何に対応するか)」や「変換ルール」を明確に定義することが成功の鍵です。

データの一貫性と整合性を確保する

データの品質を維持するために、データ検証ルールを設定します。 データの重複を排除したり、不完全なデータを補ったりするプロセスを設けることが大切です。 また、データのチェックを自動化することで、継続的にデータ品質を維持できます。

4. セキュリティとコンプライアンスのルール制定

大切な経営データを扱う上で、セキュリティと法規制遵守は避けて通れません。

データの保護を徹底する

データの機密性を保つために、適切なセキュリティ対策を講じます。

データの暗号化、アクセスできる人を限定するアクセス制御、誰がいつデータを使ったかの記録(監査ログ)など、データの保護に関するポリシーを策定し、確実に実施しましょう。

コンプライアンスを遵守する

データパイプラインは、GDPRやCCPAといった個人情報保護規制など、関連するデータ保護規制に準拠する必要があります。

法的な要件を満たすためのプロセスを設計に組み込み、定期的に見直すことが重要です。

これらのステップを踏むことで、信頼性が高く効率的なデータパイプラインを構築することができます。次のセクションでは、このデータパイプラインをどのように予実管理に活かしていくかについて解説します。


予実管理への「実践的な応用」

データパイプラインの構築について整理してきましたが、最後にこれをどのように予実管理に応用し、ビジネスを加速させるかまとめます。

1. リアルタイム予実管理:常に「今」を把握し、すぐに対応

リアルタイムデータの収集と更新

データパイプラインを活用することで、会社の状況をリアルタイムで収集・更新することが可能になります。

これにより、常に最新の情報に基づいた予実管理が可能となり、変化の激しい現代のビジネス環境においても、迅速な意思決定が実現できます。

ダッシュボードによる即時可視化

リアルタイムで収集されたデータは、ダッシュボード上で即座にグラフや表として表示されます。

これにより、経営陣や担当者は、売上やコストの状況を一目で把握でき、問題点やチャンスに迅速に対応することができます。

特に、異常な数値や重要なKPI(重要業績評価指標)の変動を即座に確認できることは大きなメリットです。

2. 予測分析:「未来」を読み解き、最適な戦略を立てる

過去データの分析と未来予測

データパイプラインを通じて収集・変換された高品質なデータは、予測分析に最大限活用されます。過去のパターンを深く分析することで、未来のトレンドをより高い精度で予測し、精度の高い予算計画を立てることが可能になります。

特にAIや機械学習を利用した予測モデルは、従来の方法では見つけられなかった隠れたパターンやトレンドを発見し、新たな知見をもたらすでしょう。

AI・機械学習の活用

AIや機械学習を活用することで、大量のデータを効率的に分析し、将来の予測を高い精度で行うことができます。

例えば、売上予測やコスト予測において、複数のシナリオをシミュレーションし、それぞれのシナリオでどのような結果になるかを事前に把握できます。これにより、最適な戦略を選択し、リスクを低減しながら事業を進めることができます。

3. 自動レポーティング:「手間なく、正確に」情報を共有

定期的なレポート生成と配信の自動化

データパイプラインを活用することで、予実報告のための定期的なレポート生成と配信を自動化することができます。

これにより、手動でのレポート作成にかかる負担が大幅に軽減され、入力ミスなどの発生も減少します。

常に最新のデータを基にしたレポートを自動で受け取れるため、タイムリーに状況を把握し、議論に集中できるでしょう。

異常値検知とアラート設定

自動化されたデータパイプラインは、予実の異常値検知や、特定の条件が発生した際のアラート設定も可能です。

例えば、売上が急激に減少した場合や、コストが予算を大幅に超過した場合などに自動で通知を受け取ることができます。

これにより、問題が深刻化する前に迅速に対応し、被害を最小限に抑えることが可能になります。

データパイプラインで、経営の未来を切り拓く

データパイプラインの設計と構築は、予実管理を効果的に行うための揺るぎない基盤を提供します。

適切に構築されたデータパイプラインは、企業が必要とするデータをリアルタイムで収集し、正確に処理・保存することで、経営判断の質を大幅に向上させるでしょう。



弊社プロダクトのVividir(ビビディア)は、このデータパイプラインを通じて整形されたデータを取り込み、経営の意思決定に必要なダッシュボードとして情報を提供します。

予実管理に必要なすべてのプロセスを効率化することで、経営者は意思決定のための時間や、次の一手という「アクション」に時間を充てることができます。これにより、より一層の企業価値向上を目指せるのです。


今回取り上げたデータパイプライン設計も、弊社にてBPOやコンサルティングとして支援を行っております。

データ基盤構築、可視化、そして意思決定のためのビジュアライズまで、お困りの企業様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

次の記事では、データ収集戦略に関するTipsをお届けします。

次の記事 【DX×予実管理4/4】 DXにおける「データ収集戦略」

伊藤 実紗

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。

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