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【DX×予実管理4/4】 DXにおける「データ収集戦略」 経営判断を加速する
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【DX×予実管理4/4】 DXにおける「データ収集戦略」 経営判断を加速する

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以前、こちらの記事3回に分けてご紹介しました。

今回の記事が、「DX×予実管理」の最終回となります。

前回記事:

【DX×予実管理 1/4】なぜ今、予実管理にDXが必要なのか? 【DX×予実管理2/4】 データパイプラインとは何か 【DX×予実管理3/4】 データパイプライン構築ステップ

「そもそも、予算計画に必要なデータがない!」

予実管理のご相談で、この声は後を絶ちません。データは、「意図的に集めなければ、決して蓄積されない」のです。

今回の記事では、予実管理をDXする上で最も重要であり、多くの企業が直面する課題である「データ収集」に焦点を当てます。

これからの経営を動かす羅針盤を手に入れるために、ぜひご一読ください。

「ゴミデータ」では未来は描けない!データ収集の黄金原則

データ分析の世界には、「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)」という鉄則があります。

いくら最新のAIやツールを使っても、元となるデータが悪ければ、正しい分析結果は得られません。

だからこそ、以下の基本原則を徹底してください。

「正確性」と「一貫性」を確保せよ

データの定義を安易に変えないでください。

定義がブレれば、同じデータでも時期が異なると全く違う結果を返します。

一度決めたデータの定義は、会社の「共通言語」として守り抜く必要があります。

「リアルタイム性」を重視せよ

市場の変化は待ってくれません。

最新のデータをタイムリーに集めることで、業績の推移をリアルタイムで把握し、迅速な経営判断と対応が可能になります。

「データセキュリティ」と「プライバシー」を考慮せよ

大切な経営データ、そしてお客様や社員の情報を守ることは、企業の信頼に直結します。

適切なセキュリティ対策を講じ、個人情報保護法などの関連法規を徹底的に遵守してください。


「使えるデータ」を引き出す!効果的なデータソース選定の秘訣

データを集めるには、どの「システム」や「ツール」を使うか。 これは非常に重要な戦略ポイントです。あなたの会社に眠る「宝の山」を見つけ出し、連携を強化しましょう。

以下のシステムは、まさに「経営判断の源泉」となり得ます。

財務システム: 会社の「お金の流れ」を正確に把握する、実際の収支データを得られます。

営業管理ツール(SFA/CRM): 案件の進捗状況や見込み売上など、「未来の売上」を予測する重要な情報が詰まっています。

生産管理システム: コストや生産性に関するデータから、「利益の源泉」を深く理解できます。 これらのシステムから得られるデータを統合することで、あなたの予実管理はより包括的で、洞察に満ちたものに変わるでしょう。

「手作業」からの脱却!データ収集・連携の「自動化・半自動化」戦略

最も原始的なデータ収集方法は「手作業」です。

しかし、これでは工数がかさみ、ミスも発生しやすくなります。

多くの先進企業が実践するように、データ取得は「自動化・半自動化」へ舵を切るべきです。

主な手法は以下の通りです。

自動化による効率最大化

自社サービス・データベースの活用: 既に持っているサービスに必要なデータ取得機能を組み込み、データが自動で溜まる仕組みを構築します。

APIの活用: 他社システムと自社システムを直接繋ぎ込み、データのやり取りを完全に自動化。人の手を介さず、タイムラグなく情報を連携できます。

半自動化による負担軽減

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入: 人手による定型作業をロボットに代行させ、効率的かつ正確なデータ収集を実現します。

CSVやJSONでのインポート: 業務で使っているファイルや、既に存在するデータをシステムに簡単に入れ込むことで、最低限の工数でデータ連携を可能にします。

他にも様々な手法がありますが、まずはこれらがデータ収集効率化の大きな柱です。セキュリティ制限なども考慮し、あなたの会社の状況に合った最適な手法を選びましょう。


「真に価値あるデータ」を見極める!データ収集方法の究極のヒント

データ収集方法を決める上で、最も大事なことは何でしょう?

それは、「最終的な予実管理のゴール像を明確に描き、そこから逆算して必要なデータを定義していく」 ことです。

このアプローチにより、不要なデータ収集を避け、「本当に経営判断に役立つデータ」に焦点を当てられます。

例えば、「月次の売上予測精度向上」がゴールなら、過去の売上実績、営業パイプラインの状況、市場動向指標などが不可欠なデータとして明確になるはずです。


次に重要なのは、データの「粒度」と「頻度」の最適化 です。

細かすぎるデータは分析を複雑にし、粗すぎるデータでは肝心な洞察を見逃します。

データ収集頻度も、日次の在庫管理が重要な小売業と、四半期ごとの業績評価が主な製造業では、最適な頻度が異なります。

あなたのビジネスに合った「ベストな間隔」を見つけましょう。

また、データの信頼性を確保するため、データの「出どころ」を評価し、検証プロセスを確立することも必須です。

特に複数のシステムからデータを統合する際は、定義の統一や重複の排除に細心の注意を払ってください。


そして、最も重要なヒントの一つは、「全てを自社で抱え込まない」 ことです。

社内にデータ収集・活用の専門家がいない場合、外部の専門リソースを活用する方が、はるかに効率的で得策なケースが多いのです。

経営を動かすための「データ収集」4つの検討プロセス

長々と解説しましたが、基本的には以下のプロセスで検討を進めてください。

  • なぜ、予実管理をデジタル化したいのか?目的を明確に整理しましょう。

  • デジタルな予実管理には、どんなデータが必要なのか? 具体的に洗い出します。

  • 定義したデータを、社内の専門知識あるメンバーが取得できるか? 人材と能力を見極めます。

  • 社内で対応が難しい場合、外部リソースをどう活用するか? 協力体制を検討します。

「この進め方で進めたいけれど、自社のリソースや状況では難しいかも…」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

ツールの導入云々はさておき、まずはカジュアルにお話しできることも多いはずです。


まとめ:「データ」こそが未来を拓く、最強の「経営資産」

4回に渡り、予実管理をDXを用いて効率的に行う方法を解説してきました。

データ収集の戦略は、経営企画やIT部門だけで完結するものではありません。 現場の協力や、日々の業務フローとの整合性がなければ、計画は絵に描いた餅となります。

たとえば、営業現場の入力負担を軽減するUX設計や、自動取得の仕組みづくりは、現場との共創が不可欠です。 トップダウン×現場視点の両輪でデータ収集をデザインすることで、定着性も精度も格段に上がります。


予算のローリングや、蓋然性の高い見通しを立てる上で、「土台となるデータ」とその「加工プロセス」は、決して避けて通れない経営課題です。

予実管理のDX化は、企業の競争力強化に不可欠な取り組みです。

適切なデータ収集方法の確立、自動化の推進、データ品質の徹底的な管理、そして組織全体での取り組みこそが成功の鍵を握ります。

必要に応じて最適なツールを賢く活用し、段階的にDX化を進めることで、あなたはリアルタイムで正確な予実管理という最強の武器を手に入れるでしょう。

経営者や経営企画部門の皆様、本稿で紹介したヒントが、皆様の企業の成長と価値創造に貢献することを心から願っております。

伊藤 実紗

メーカー営業から出産を経てフリーランスに転身。 ライティング・編集・校正業に携わる。 2025年にマーケ担当としてプロフィナンスにジョイン。

短いサイクルを高頻度で回して成長する様子
短いスパンで非連続な企業成長を遂げるモダンな組織のためのインフラ