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Chapter 10事業開発のプロセス25分で読めます

事業開発の始め方(テーマ設定・アイデア創出・コンセプト化)

森勝 遼太郎
森勝 遼太郎
CPO
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プロンプト全文

新規事業を始めるにあたって最初にやることは、テーマを決め、アイデアを出し、コンセプトに固めることです。
切り口に合わせて情報を集め、種を作ることが目的であって、テーマ、アイデア、コンセプトの3つをこの順で揃えて初めて、最初のステージであるCCF(Concept Company Fit / 自社適合検証)の検証に進むことができます。

同じテーマからアイデアはいくつも出ますし、同じアイデアからコンセプトもいくつも出ます。
本章では、テーマを置き、アイデアを出して選び、コンセプトを出して選ぶ、という分岐と絞り込みの手順を解説します。

テーマ・アイデア・コンセプトの順で考える

まず「テーマ」「アイデア」「コンセプト」の3語を区別しておきます。
混同しがちな言葉ですが、ここではテーマは商売を始めるキッカケ、アイデアは届けられそうなソリューション、コンセプトは顧客へ伝わるユニークな一文、とします。

名称役割
テーマ商売を始めるキッカケ30代向け、ケアコスメ
自分が対象として考えてみる
アイデア届けられそうなソリューションホワイトスペース
・年代別はあるが、ライフイベント別は少ない(出産、転職、転居など)
・女性向けはあるが、男性向けは少ない
・スポットでのリピートはあるが、サブスクは少ない
・顔や肌は多いが、体や局部は少ない

アイデア
・出産直後の女性に向けたボディケア
・転居によって、気軽に色々試せる場所(コスメフロア等)がなくなってしまった人に向けた体験の場
コンセプト顧客へ伝わるユニークな一文出産直後
・出産直後の女性に向け、男性側がボディケアしてあげられる商品
・出産直後のボディ・局部・髪・肌などのケアがワンセットで1年届くサービス

転居後体験
・デパートが少ない地域専門の30代向けポップアップストア
・30代向け、自分にあったケアコスメを無料で毎週試せて、安く買い続けられる招待制サービス

※例は、あくまで理解のためであり、実情を反映していません

構造としては、1つのテーマの下にアイデアは複数、1つのアイデアの下にコンセプトも複数考えることができます。
コンセプトを作り出すにあたって、テーマからアイデアへと考える流れが後の競争優位性に効いてきます。
また、同じテーマでもアイデアが違えば生まれるコンセプトも変わりますし、同様に同じアイデアでもコンセプトは複数考えられます。
この、コンセプトを明確にするプロセスそのものが「事業開発の始め方」と言えます。

なお、その案件を自社がやる意義(Why us)や今やる意義(Why now)は、テーマに多少含まれてしまうかもしれませんが、無理に考えておく必要はありません。
発想が狭まってしまうだけです。
これらは最初のステージ(CCF)で確かめます。


では、これ以降で、各プロセスについて解説していきます。

テーマから複数のアイデアが出て1つが選ばれ、そこから複数のコンセプトが出て1つが選ばれ、CCF の検証へ進むという分岐と絞り込みの木

テーマ設定

テーマは、商売を始めるキッカケです。
ビジネスをしたい領域でもいいですし、業界への違和感、コンプレックスや印象強かったエピソード、持っている技術や提供してみたいビジネスモデルなどなんでも構いません。

キッカケがなければ、届けられそうなソリューションの案をランダムに出すことになってしまいます。
考え始める出発点を設けることで、かえって発想を広げやすくします。

アイデア創出

テーマが決まってくるとやることは3つです。

  1. 前提条件を課す: 野心度、新規度、既存アセットの活用、などを決めておく。
  2. ホワイトスペースを軸で分析する: テーマを顧客属性や提供価値、ビジネスモデルなどで構造化し、軸ごとに競争要因と先行プレイヤーの分布を調べます。
  3. アイデアにしてみる:テーマ・前提条件・ホワイトスペースに合わせて、愚直に並べる。

前提条件を課す

同じテーマでも、既存の顧客基盤や技術をどれだけ前提にするか、既存事業からどれだけ離れるかで、出てくるアイデアは変わります。
制約があるほうが発想は広がります。

前提条件自分に問うこと
既存アセット活用自社の顧客基盤やデータ、技術をどれくらい前提に発想するか
新規度既存事業の延長で考えるか、隣接領域か、まったく別の領域まで広げるか
野心度堅実に通せる案を狙うか、大化けを狙う大胆な案まで出すか

前提条件を動かしながら発想すると、既存アセットを前提にした案と一切使わない案の両方を意図して出せたりもします。

ホワイトスペースを軸で分析する

ここまで来たら、業界の構造を戦略軸(競争要因)で分けていきます。
先行プレイヤーの分布を調べ、まだ誰も競争していない領域(ホワイトスペース)を見つけるためです。

切り口は、顧客の属性(大企業か中小企業か)、提供価値(価格重視か体験重視か)、提供の手段(ハードウェアかソフトウェアか)、満足度、体験、リピート率など、後々競合分析マップの軸に使えるような競争要因を、各サービスごとに挙げていきます。

例えば、コンビニで言えば、

  • 立地と店舗密度(駅前か住宅地か、同じ地域にどれだけ密集して出店しているか)
  • 営業時間(24時間か、時短か)
  • 自社ブランド商品の幅と価格(弁当や惣菜、スイーツをどこまで自社で作るか)
  • 店内で作る商品(淹れたてのコーヒー、揚げ物、焼きたてパン)
  • 店舗で使えるサービス(ATM、宅配便の受け取り、公共料金や行政手続き、チケット)
  • 決済と会員基盤(アプリ、ポイント、後払い)
  • 加盟店への本部の支援(物流の頻度、発注の仕組み、人手不足への対応)

などです。

コンビニの競争要因を縦横に並べた碁盤に先行プレイヤーの石が置かれ、「住宅地×全品100円」「オフィス街×無人・24時間」「一つの地域に密着×独自商品」の交点だけが空いて見える図(ビジネスモデル囲碁の見立て)

こうしてみると、どこが手薄かが見えてきます。
もしかしたら、コンビニでも「住宅地の近くで、生鮮や惣菜を中心に、全品100円」「オフィス街で、無人で、24時間」「一つの地域に密着して、その土地の独自商品で戦う」といった組み合わせなら参入できるかもしれません。
大手の分布を見る限り、どれも空いているように見えます。

ただし、空いている場所には空いている理由があるのです。

なぜそこは誰もやっていないのでしょうか?

儲からないから、規制があるから、技術的に成立しないから、という理由で空いているなら、それは私たちにも実現できない可能性があります。
既に取り組んでいて失敗したのかもしれません。
「まだ誰も気づいていない」「以前は成立しなかったが、環境が変わって成立するようになった」と言えるホワイトスペースだけが、アイデアの起点になります。

先ほどの3つの組み合わせは、実際にはどれも参入した会社があり、うまくいきませんでした。
全品99円のコンビニ SHOP99 は800店まで広がりましたが、価格の低さで利益が出ず、2008年にローソンの傘下に入ってローソンストア100へ転換され、その後も不採算店の閉店が続きました(出典: Wikipedia「SHOP99」)。
無人コンビニは7〜8年前から実証実験のニュースが繰り返されていますが、実用化された店舗はごくわずかで、先行した Amazon Go も目標の店舗数に届いていません(出典: ダイヤモンド・オンライン 2024年3月)。
地域密着の中堅チェーンだったセーブオンやスリーエフは、独自商品を維持し続ける体力が無く、2018年前後にローソンへ転換されて消えました(出典: ねとらぼ「コンビニ統廃合の歴史」)。
安さは原価と人件費に、無人は品揃えと投資に、地域密着は商品開発と物流の規模に、それぞれ壁があったということです。

なぜ空いているかを言えることが、後の CCF で競合優位や独自の提供価値(UVP)の仮説を立てる土台になります。

アイデアにしてみる

前提条件には従った上で、見つけたホワイトスペースの要素をいくつか組み合わせていくと、届けられそうなソリューションが見いだせます。
これがアイデアです。
ホワイトスペース分析で得られた情報をもとに、どのような価値を提供できそうか、候補となる案が作れるはずです。

アイデアが並んできたら、後は1つ選ぶだけです。
進めてみてダメなら、また後で別の組み合わせを選択してみてもいいかもしれません。

選定の基準のオススメは「面白さ」です。
責任を持って進めてみるあなたが面白いと思えるかどうか、で決めましょう。
実現可能性や収益性など、そういった論点をまだ考える必要はありません。

切り口を挙げる、ホワイトスペースを見つける、「なぜそこは誰もやっていないのか」を問う(儲からない・規制・技術で空いているなら除外し、まだ気づかれていない・環境が変わって成立だけ残す)、アイデア候補を全件並べる、という4段の流れ

コンセプト決定

選んだアイデアから、顧客へ伝わるユニークな一文を決めます。
そのためには、まだまだアイデアの解像度を上げる必要があります。
やることは4つです。

  1. 関係者を洗い出す: アイデアが届く本人と、その周りにいる人を役割ごとに並べる。
  2. 各自の解決策: 関係者ごとに理想、現状、課題(ギャップ)、解決策の順に書く。課題は1つとは限らない。
  3. 差別化: 解決策を先行プレイヤーや内製の仕組み、代替手段と比べて、何が違うかを決める。
  4. コンセプト化: 誰のどんな課題をどう解決するかを、自己紹介で言える一文にする。ここで誰を対象にするかを決める。

関係者を洗い出す

まず、アイデアが届く相手には関係者がいる、という観点から始めます。
主ターゲットとなる本人のほかに、意思決定者、決裁者、許可する人、影響を受ける人といった関係者を役割ごとに洗い出します。
本人だけでは真の課題解決になりません。

toB であれば、役職の他に、他部門や組織の属性(規模、業種、状態など)も考えましょう。
toC でも、家族やパートナーなど周囲を考える必要があるかもしれません。
マッチングなどでも、同様のことが言えます。

各自の解決策

次に、関係者ごとに、理想、現状、課題、解決策の順に書きます。

理想から先に書くのは、現状から書き始めると今の不満の裏返しになってしまい、課題解決に至れないことがあるからです。この時点では、解決策を機能要件やシステム構成まで落とし込む必要はありません。

理想欄には、 toBならミッションやKPIなど大きな話で構いません。その大きな理想の下に、(小さな理想に分けてもいいです)現状とのギャップが複数ぶら下がる、というイメージです。
関係者1人につき理想も課題も1つとは限らないので、行を分けて全部書き出しておきます。

差別化

書き出した解決策を、ホワイトスペース分析で挙げた先行プレイヤーと、関係者が今使っている代替手段(汎用 AI、ドキュメント系 AI、コード生成 AI での内製、Excel + PowerPoint、人手、何もしない、など)と比べます。

比べ方は「相手には何ができないか」ではなく「自分たちは何が違うか」を考えるとコンセプトらしくなります。
先行サービスも内製の仕組みも、関係者が今使っている大事な道具です。欠点を並べるのではなく、違いを明確にするだけで構いません。

この違いとして書けたものが、ユニークさです。ユニークといっても、奇抜である必要はありません。

例えば、同じ男性向けソリューションでも、体型・骨格・性格などの切り口が変わればコンセプトは違うものになります。

コンセプト化

関係者ごとの課題と、差別化で残ったユニークな解決を、誰のどんな課題をどう解決するか、の一文にまとめます。

ここで、誰を主体にするかを決めます。
同じアイデアからでも、誰を対象に置くか、どの課題に答えるかで、コンセプトは変わります。

一文は、初対面の相手に自己紹介で言える長さにします。
関係者の課題を全部盛り込むと説明文になってしまうので、相手が「それはどういうこと?」と聞き返したくなる一言を残し、あとは削ります。

あくまで初期案としてわかれば構いません。伝わるかどうかのキャッチーさは、後で改善していけます。

ひとまずは、納得できる言い方ができたら、テーマに即しているか、アイデアを活かせているか、誰に何をどのように提供するかが一貫しているか、他との差を説明できるかを見ていきます。
AIを使ったり、周りに聞いたりするのも良いでしょう。

有名事業のサンプル

公開されている創業談を、テーマ、アイデア、コンセプトの順に並べ直したものです。
業種も規模も出発点もばらばらですが、キッカケがあり、届けられそうなソリューションを思いつき、顧客へ伝わる一文になる、という順序は同じです。
3つへの当てはめは当社の読みで、出典の言葉そのままではありません。

事業テーマアイデアコンセプト
スタディサプリ(リクルートの社内新規事業・教育。出典高校生の進路支援の領域で、数年後の柱になる事業を作る塾のない地域や経済事情で塾に通えない生徒に、一流講師の授業を動画で届ける一流講師の授業が月額980円で見放題
Soup Stock Tokyo(三菱商事の社内ベンチャー・飲食。出典商社の新規事業担当として「低投資・高感度」の新業態を探していた女性が1人でスープを飲んでホッとしている場面。1人で入れる店が少ない企画書「スープのある一日」。37歳の女性「秋野つゆ」を店に見立てた、化学調味料に頼らない食べるスープの店
QBハウス(個人の創業・サービス。出典急いでいるのに理髪店で待たされ、寝過ごして商談に遅れた体験理美容の素人だからこそ「カットだけに絞れば10分で済む」と考えた10分1,000円のヘアカット専門店
ラクスル(スタートアップ・toB。出典コンサルタントとしてコスト削減を手がけ、間接費の中で印刷コストの削減率が最も高いと気づいた注文をネットで直接受け、中小印刷会社の空いた時間で刷れば、中間マージンを省ける印刷機の空き時間を使った、安いネット印刷(まず比較サイト、次にEC)
富士フイルム アスタリフト(大企業の事業転換・製造。出典デジタルカメラの普及で写真フィルムの需要が激減し、技術の転用先を探したフィルムの主原料はコラーゲン。コラーゲン・抗酸化・ナノ分散の技術を肌に使う写真の技術で肌を美しく。抗酸化成分アスタキサンチンを主成分にしたスキンケア(2007年)
タイミー(学生の起業・マッチング。出典アパレル事業の失敗後、自身の日雇いバイトの経験と店の人手不足空き時間と人手の足りない店の時間をマッチングし、応募から報酬の受け取りまでアプリで完結させる面接なし、すぐ働けて、すぐお金がもらえるスキマバイト(2018年)
Airbnb(海外スタートアップ・toC。出典家賃が払えない。折しもデザインカンファレンスで市内のホテルが満室だった自宅にエアマットレスを敷き、朝食つきでデザイナーを泊めるAir Bed & Breakfast(2007年)
Slack(ゲーム会社のピボット・toB SaaS。出典開発していたゲーム Glitch が採算に乗らず終了した(2012年)開発中に自分たちで作って使っていた社内チャットを、そのまま製品にするSearchable Log of All Conversation and Knowledge(会話と知識をすべて検索できる記録)
ワークマンプラス(既存事業の転用・小売。出典作業服市場は全国1000店・1000億円が天井で、飽和していた作業服の技術が活きるアウトドア・スポーツウェア市場。価格と機能の軸で見ると「低価格でプロ品質」が空いていた既存商品を切り出した、高機能・低価格のアウトドアウェア専門店(2018年)

これ以降のステージ進行でコンセプトは変えない

固まったコンセプトは、これを元に検証を進めていきます。
検証を進める中でターゲット顧客や提供価値の根本が変えたくなったら、それはもはや別モノ、つまり別の案件として扱います。同じ案件のまま進めてしまうと、それまで積み重ねてきた検証結果と辻褄が合わなくなり、根拠が意味をなさなくなってしまうからです。

このような転換(ピボット)の作法は、事業開発の閉じ方(撤退・ピボット・移譲)で扱います。

コンセプトが固まり、このまま進むと決めれば、入口のセットアップは完了です。

次の CCF(Concept Company Fit / 自社適合検証)では、いよいよこのコンセプトを土台に、自社が今やる意義があるのか、競合優位は作れるのかといった論点に向き合います。

この章の手順を、記入して使える7枚のワークシートと通しの記入例にした資料「確度が上がる、事業案の作り方」も用意しています。

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AIで要約

お使いのAIチャットで、このの要約を開きます。Gemini・Copilot・Notion AIはプロンプトを渡せないため、下のプロンプトをコピーして貼り付けてください。

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